日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回は、60年に一度の干支である丙午の迷信と日本の少子化に関する関係性に注目した。
日本の少子化が、これまでにないスピードで加速しています。総務省が発表した2026年4月1日時点の子供の数(15歳未満人口)は1329万人。前年から35万人も減少し、45年連続の減少で過去最少を更新しました。総人口に占める子供の割合も10.8%まで低下し、52年連続のマイナス。この危機的な状況において、さらなる懸念材料として浮上しているのが、2026年の干支である「丙午(ひのえうま)」という特異な年回りです。
丙午を巡る迷信は、江戸時代から長きにわたり、日本の女性を苦しめてきました。「この年に生まれた女性は気性が激しく、夫の命を縮める」といった根拠のない風説は、明治、昭和と時代が移り変わる中でも社会に深く根を張り続け、出産を控えるという異常な事態を招いてきた背景があります。実際、前回の丙午である1966年には、出生数が前年から約25%も急落。当時の日本人が科学的根拠よりも、周囲の目や風評を重んじていたことがうかがえます。
こうした歴史的経緯から、2026年の幕開けとともに「令和の丙午」によるさらなる出生数減が危惧されてきました。しかし、厚生労働省が発表した2026年1月の出生数速報値は、前年同月比で0.5%の微増を記録。専門家や産婦人科医への聞き取り調査でも、いまのところは妊婦の数が極端に減少している兆候は見られないといいます。
ネット上でも「迷信で一喜一憂するより、安心して育てられる保障を整えるべき」「教育費や物価高の方がよほど壁になっている」といった現実的な声が目立ちます。1966年当時は第1子出産年齢の平均が25歳前後でしたが、現在は31歳を超えており、「1年待つ」という選択肢が実質的に失われている側面も否定できません。仮に迷信を気にする夫婦がいたとしても、時間的な余裕のなさがそれを上書きするのが実情でしょう。