■AI時代にも生き残るアナウンサーとは……元キー局Pが解説
元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏は、AIアナの台頭と局アナの今後についてこう分析する。
「AIアナの技術は相当上がってきていて、ニュースは正確に読めます。固有名詞もアクセントさえ入力すれば読めますし、読み間違えることもない。原稿を書けば時間を問わずにいつでも対応してくれて、数年のうちにストレートニュースはAIで十分という時代が来るはずです。
それに視聴者側も“AIが読んでいる”となると“面白いな”と興味を持ってくれます。まずニュースがアナウンサーからAIに置き換わり、その後、演出的にバラエティ番組にAIを登場させることになるのではないでしょうか。ドラマ、アニメにもAIのナレーター使うことがしばらくの間は“面白い演出”として行なわれていくと言われています」(鎮目氏、以下同)
テレビ業界のなかでも、最もAIの影響を受けるのがアナウンサーという職種だと鎮目氏は指摘する。
「AIの台頭でアナウンサーの仕事が減っていく傾向にあるのは間違いありません。ただのアナウンサーというだけでは存在価値はなくなっていきます。アナウンサーに加え、プラスアルファ何かできる人が重宝される時代になってきていますよね。
緊急災害が発生した際、事件が起きた際など、生放送中にどんな事態が起きても対応できることが価値になりますよね。大雨や地震など、昨今の日本では突発的な出来事が増えてきていますしね。
生放送中でタレントのみだったらそういった場合に対応できませんし、その状況を上手く仕切れるアナウンサーには仕事を任せたいですし、専門知識を持っているアナウンサーも重宝されますよね。『ゴゴスマ-GO GO!Smile!-』(CBCテレビ・TBS系)のアナウンサーがそうですよね」
『ゴゴスマ』でアシスタントを務めているCBCテレビのアナウンサーである小川実桜アナ(24)と友廣南実アナ(24)、古川枝里子アナ(41)は気象予報士の資格を持っている。
「『ゴゴスマ』が放送されている時間帯的にも夕方や明日の天気が気になりますし、番組も天気の解説をメインにしていますよね。気象予報士の資格持っているアナウンサーは貴重ですし、こういった資格を持っているアナウンサーはAIに置き換えられません。
緊急災害、事件が起きたときにアドバイスができる専門家のようなアナウンサーが必要とされ、業界的にもそういった動きがあります」
スポーツ中継もアナウンサーの技術を活かせる分野だという。
「即座にそのときの状況に沿ったことを言う必要がありますし、アナウンサーは視聴者がその競技を見るガイドラインを即興でやる役割を担っているんです。五輪などではさまざまな競技の中継がありますが、知識がないとその技術・テクニックが凄いのか凄くないのかわかりません。
アナウンサーは過去のデータも含め、その場でその技術の凄さや難しさを説明できるわけです。もちろん、その競技の専門家ならしっかり解説してくれますが、実況で盛り上げつつジャストなタイミングで説明するというのは高度なテクニックが必要になってくる。こういった中継は専門的な知識を持ったアナウンサーにしかできません。
アナウンサーでありながら専門家や解説者のような役割もこなせるような、2つ以上の存在価値を持ったアナウンサーが今後は求められ、そういったアナウンサーではないと生き残っていけないのではないでしょうか」
AIの進化はアナウンサー業界に大きな変化をもたらすことになりそうだ。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)