■シリコンバレーからヒットを狙う
実際に大谷翔平がCMキャラクターを務める日本の緑茶飲料『お~いお茶』もシリコンバレーに本社があるフェイスブックやグーグルのオフィスの自動販売機に導入されたのをきっかけに米国での一大ブームにつながった。緑茶と同様に発酵飲料の普及にも期待は高まる。
「シリコンバレーがあるカリフォルニア州には和食レストランが4500件以上あるとされ、日本食や発酵文化への関心も高い。こうした背景が、甘酒の受け入れを後押するとみられています」(前出の食品メーカー関係者)
また、Ferment Baseは外国人が集まる国内観光地でマーケティングに注力。その情報を商品開発にも反映した。その結果から今回、輸出用の商品として黒胡麻味と生姜味を投入した。この2つの味を選んだのにも理由があるという。平松氏が話す。
「ジンジャーエールというものが存在している通り、生姜はアメリカでは馴染みのある味。黒胡麻もヘルシーな食材として浸透しています。また、どちらの味も麹特有の香りを和らげ、スッキリ飲みやすくしてくれます」
また甘酒を作る際に白米を入れず、米麹のみで生産。さらに米麹の米の配合も通常より15%ほど減量したものを使うことで、現地向けにさらなる飲みやすさを実現しているという。
「スッキリさせるだけではなく、これにより減価率を下げることに成功しました。また、販売価格は国内定価の約2倍となる1本約7.5ドル(約1200円)に設定。現地での販売拠点となる日系スーパー·大阪マーケットプレイスはシリコンバレーで既に3店舗を展開しており、飲料関連カテゴリーの売上が年間約10億円規模に達しています」(前同)
販売市場が確立されているのは明らかだ。
今後について平松氏は、「透明な甘酒をベースにした炭酸飲料の開発も検討しており、米国飲料市場をけん引する炭酸飲料市場への挑戦も夢見ている。おいしく飲んでいたら、結果的に健康になっていた、そんな世界を目指したい」と話す。
弥生土器からも発酵由来の食品の痕跡が見つかるなど、米麹は人類史で稲作が始まってまもなく生まれた可能性もある。寿司や天ぷらに続き、今度は甘酒が世界の食卓を席捲するか。