FIFAワールドカップ2026の開幕で、世間はすっかり“サムライブルーVS世界”一色。

 だが、本サイト読者の注目度でいえば、何を置いてもプロ野球。それも“セ界”の戦いだろう。

 特に巨人は、阿部慎之助前監督のワンマン体制から合議制へと転換し、初の外様指揮官・橋上秀樹監督代行を迎え風通しも変わった。“メークドラマ”はこれから始まる!

 暴行容疑で書類送検された阿部慎之助前監督の一件で、オフェンスチーフから急遽“昇格”した橋上秀樹監督代行が健闘している。

 攻撃面での“橋上色”としては、機動力をより全面に押しだした戦術も今のところは奏功中。

 その象徴的な場面が、浦田俊輔(23)が三盗を含む1試合3盗塁を決めた、前述の5月30日の日本ハム戦だ。

 第2次原政権の巨人でヘッドコーチを務め、西武とオリックスでは監督も務めた伊原春樹氏が言う。

「チーム盗塁数でリーグトップと、こと盗塁に関しては阿部(慎之助氏)の監督時も積極的だったが、ディフェンスチーフの川相(昌弘)がヘッド格になったことで、そのあたりは、より戦略的にできる可能性はあるだろうね」

 実際、橋上体制では、それまでサードコーチャーだった川相コーチのポジションも、ベンチの監督脇に。

 中継映像の中でも、川相コーチ自身がサインを伝達する姿が頻繁にキャッチされるようになっている。

 自らの意志でサインを出す辣腕サードコーチャーとして、“西武の頭脳”とも称された伊原氏が続ける。

「私の頃とは違い、今のサードコーチャーは、あくまでサインの中継役。ヘッド格の川相が常に傍らにいるというのは橋上にとっても心強いだろう。

 私の巨人時代も、1年目こそサードコーチャーだったが、2年目以降は原監督から“横にいてもらえませんか”と直々に頼まれて、配置換えをしたくらいだからね」

 その伊原氏いわく、「試合中は常に即断即決。監督にモノが言える存在の有無は、かなり重要」とも。

 その意味で、阿部前監督は基本的にはワンマン采配。ヘッド格の橋上コーチも、監督肝いりの入閣だったわりに存在感は薄かった。

 橋上代行と同じく“野村ID”の薫陶を受けた野球解説者の秦真司氏も、「これは私の推察ですが」と前置きしながら、こう続ける。

坂本勇人(37)や丸佳浩(37)の重要性を橋上自身も分かってはいたでしょうけど、当の阿部監督に対してはおそらく、そこまで強い進言もしていなかったんじゃないかな、と。

 川相コーチも野球IQはかなり高い。塁上の状況判断よりは、ゲームプランの立案・実行でこそ、より生きる人だと思います。現状は、それがうまく機能しているように見えますよね」

 それを裏づけるかのように、チームに帯同する番記者陣からも、「以前と比べて、風通しは明らかによくなった」との声がチラホラ上がる。

 これについては、各部門のチーフに、まず情報を集約するという今季の指揮系統から、「ワンクッションが取り払われた効果ではないか」と、秦氏も見る。

「オフェンス&ディフェンスの両チーフが、代行&ヘッド格となったことで、ミーティングなどでも各部門のコーチたちが直接、意見できるようになっている。

 阿部監督がどうとかじゃなく、単に効率の問題として結果的には、それが良かったんじゃないですかね。直言できれば変に齟齬が生じたりもしませんから」