■大リーグ過去50年で2人目の快挙

 一方、試合序盤の失点が、やや悪目立ちする感のある山本も、すでに6勝。魔球スプリットを中心に、防御率も2点台と下げてきた。

 前出の藪恵壹氏は、立ち上がりの悪さも「エースの自覚ゆえ」と、こう続ける。

「根底にある“できるだけ長いイニングを”という意識が入りをスローにするんでしょう。ただ、今は試合中でもデータを見返せる。そこから、きっちり立て直す修正能力の高さは、やはり、さすがだと思いますね」

 実際、6月6日のエンゼルス戦では初回に1点を失うも、その後は8回まで10奪三振を奪う、打者22人連続斬り。20者以上を連続アウトにしたのは通算3度目となり、大リーグ過去50年で2人目の快挙だ。

「けっして身長も高くない彼の外角高めは、かなり浮き上がって見える。あそこに投げきれるからスプリットやカーブの落差も、より活きてくるんです」(前同)

 そんな山本の登板前日、5日のエンゼルス戦では、“第3の男”佐々木も、いよいよ復活の兆し。

 7回無失点で、奪三振も渡米後初の2ケタ。ストレートの球速も最速100.6マイル(約161.9キロ)を記録した。

「あとは、“フォークが言うことを聞かない”という日を、どう乗りきるか。私の経験からしても、チェンジアップならすぐに投げられるようになるし、実戦向きだと思うけどね」(同)

 他方、同じナ・リーグ西地区では、ロッキーズの菅野智之(36)も奮闘中。6月10日の時点で、チームは最下位も、ベテランの菅野はすでに6勝を挙げている。

「被本塁打は変わらず多いが、多くの投手が嫌がるホームランが出やすい球場で、あの成績は立派。投げミスが許されない中でも、ちゃんと結果が出せるのは、持ち前の制球力と、精度の高いスプリットのおかげ」(同)

 快投を続ける侍投手陣がメジャーを席捲!

藪恵壹(やぶ・けいいち)
三重県南牟婁郡御浜町出身の元プロ野球選手(投手)・コーチ、解説者・評論家・YouTuber。NPBでは1994年から2004年に阪神タイガース、2010年に東北楽天ゴールデンイーグルスでプレーし、阪神時代の1994年にはセントラル・リーグの新人王を獲得、2003年にはチームのセ・リーグ優勝に貢献した。NPBにおける通算成績は279登板、84勝106敗、防御率3.58。またMLBではオークランド・アスレチックスとサンフランシスコ・ジャイアンツでプレーし、実働2年間で100試合に登板した。