■「貯蓄・年金・運用・就労」老後資金の貯め方を【CFPが解説】
──老後資金はどのように準備するべきなのでしょうか。
老後資金準備は「貯蓄・年金・運用・就労」の4本柱で考えるべきです。一つに依存するとリスクが高まります。
まず、
1.貯蓄は生活防衛資金として確保し、突発的な医療費や修繕費に備えます。
2.年金については、繰下げ受給を選択することで終身の受取額を増やすことが可能です。
3.資産運用では、NISAやiDeCoを活用し、長期・積立・分散を基本に非課税メリットを活かしながら資産形成を進めていくことが重要です。
4.就労も有効な選択肢です。
近年は60代でも多くの方が働いており、たとえ月数万円の収入であっても、取り崩しを抑えることで資産寿命を大きく延ばす効果があります。
実務的な出発点は、「自分の年金見込額」を把握し、不足額を毎月いくら積み立てるかを具体的に決めることです。ポイントは、老後資金を一括で用意しようとしないことにあります。積み立てと運用を組み合わせた仕組みを構築し、無理なく継続することが、最も現実的で再現性の高い対策といえるでしょう。
──物価上昇が続くこの時代。有効な投資先やお金の増やした方はありますか。
インフレ時代の基本は「現金偏重を避け、実質価値を守ること」です。物価上昇下では預金は実質的に価値が目減りするため、投資の重要性が高まります。
基本は、新NISAのつみたて投資枠などを使い、世界株式や先進国株式を中心とした低コストの分散型投資信託へ長期積立する方法です。企業は物価上昇局面でも価格転嫁によって利益成長できる場合があり、長期では預金よりインフレ耐性が期待できます。
一方で、老後世代は全額を株式に寄せるべきではありません。数年分の生活費は預金で確保し、それ以外を段階的に運用するのが安全です。
また、制度面では、所得控除のメリットが大きい現役世代にはiDeCo、年齢を問わず柔軟に使いやすい制度としては新NISAの活用が有効です。インフレ局面では価格変動も大きくなるため、毎月一定額を積み立てるドルコスト平均法を基本とし、あくまで生活資金と切り分けた余裕資金の範囲内で無理なく継続することが、長期的な資産形成のポイントとなります。
【記事前編】では物価上昇が続く中で、家計を運営するポイントや本当に必要となる老後資金の金額をCFP・宮岡秀峰氏が解説する。《【記事前編】はこちらから》
宮岡秀峰(みやおか・しゅうほう)
公認会計士、税理士、行政書士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)。税理士法人アクシア代表社員、アクシア公認会計士事務所代表。公認会計士として会計・財務の視点から中小企業支援に取り組むほか、相続・事業承継分野にも幅広く携わる。講演や税務相談の実績も豊富で、会計・税務分野の書籍共著、雑誌寄稿も行なっている。
税理士法人アクシア 公式HP:https://axia.or.jp/