■やっぱり地味な主人公・豊臣秀長

 史実では、半兵衛(菅田)が松寿丸を密かにかくまい、替え玉の首を差し出して信長(小栗)を欺いている。今回は半兵衛が殺害を思いとどまるという、史実改変バージョン。しかし、そんなことは吹き飛ぶほどの菅田の熱演だった。「次は大河の主役で」という声があるが、それも時間の問題だろう。

 ただ一方で、《未だに仲野太賀くんが目立たない》のような声があるように、半兵衛が目立ちすぎというか、主人公の秀長(小一郎/仲野)の影が薄かったのも事実だ。今回は無理やり慶(吉岡)の出産エピソードを差し込んで、秀長の登場シーンを増やしていたが、制作側が主人公に気を使ったのではないかと勘ぐってしまう。

 どうも、仲野演じる秀長というキャラがまっすぐな性格すぎて、存在感を薄めているような気がするのだ。秀吉(池松)をはじめとする周りのクセ者を補佐する立場であるため、あまりややこしいキャラにできない事情はあるのだろう。ただ、少年マンガの主人公のようで、どうも人間的な深みに欠けるように感じるのだ。

 さらに本作は、かつての戦国もの大河ドラマなら描いたであろう、いろいろな攻防の詳細を端折ったうえで、各トピックを派手に作って目立たせているが、それも秀長の存在感が薄い理由のひとつだろう。主人公の影が薄いとドラマの求心力が下がるのも事実だ。5月以降、平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)が10%台に沈むことが多いのは、そういったところに原因があるのではないだろうか。

 次回、毛利攻めの足がかりとなった「播磨編」は終了で、亡き竹中半兵衛(菅田)の遺志を継ぎ、軍師・黒田官兵衛(倉)が爆誕する。村重(松本)の裏切り、その妻・だし(山谷花純/29)の悲劇なども描かれるようだが、その中で、地味男・秀長の活躍に期待したい。

(ドラマライター・ヤマカワ)

ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。