「“最後”って言われたら、行かない選択肢はない。でも……本当に行けるのか不安で仕方ないです」

 都内在住の会社員女性(40代)はそう語る。彼女が狙っているのは、この夏、大阪中之島美術館で開催されるヨハネス・フェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」の展示だ。

 今回の来日は、所蔵元であるオランダのマウリッツハイス美術館館長が「おそらく最後の機会」と明言していることから、“日本で見られるラストチャンス”との認識が広がっている。近年は作品保護の観点から海外貸し出しが厳格化しており、今後は国外に出ない可能性も高いとみられているからだ。

 さらに今回、会場は大阪のみで、しかも約1か月強という超短期開催。この“条件の厳しさ”が、異常とも言える過熱を生んでいる。

 実際、チケット販売の現場は文字通り“地獄”と化した。

 615日に始まったtabiwaアプリを使ったチケットの先行販売では、待機列が10万人を超え、待ち時間も12時間以上などX上で悲鳴が上がった。《待機列10万人超え》、《12時間待っても買えない》といった報告が続出。中には、ようやく順番が回ってきてクレジットカード情報を入力し、購入ボタンを押した瞬間にアクセスエラーが発生し、《再び6万人待ちの列に並び直しになった》という投稿も複数見られた。

 

 30代男性会社員もこう語る。

 「ここまでくるともう運じゃない。回線ガチャ。美術展でこんな経験するとは思わなかった」

 さらに問題視されているのが転売だ。チケット転売サイトでは、定価約3000円の入場券が6万円前後で出品されるケースも確認されている。

 前出の40代女性は憤る。

「純粋に見たい人が弾かれて、転売目的の人が取れてしまうのはおかしい。“最後”って言葉を利用されている感じすらある」

 SNS上でも、《美術展がライブ並みの争奪戦》、《文化鑑賞が富裕層のものになってる》といった不満が噴出。静かな鑑賞体験とはほど遠い、“戦い”の様相を呈している。