■『ホットショットJr.』、まだあるんだ!

『TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO』は、ミニ四駆好きが集まる拠点の一つ。ミニ四駆本体や関連パーツなど約6000アイテムが並ぶホビー施設で、その一角には実際にマシンを走らせられるコースも設けられている。そのため、かつて遊んでいた世代が、再びミニ四駆に触れる場所にもなっている。

 実際、金曜日の夕方に記者が施設を訪れてみると、そこにはスーツ姿の会社帰りらしき男性や、親子連れの利用者が多くいた。

「ふらっと施設に来られた昔のファンの方が、並んでいるミニ四駆を見て“懐かしい”とスタッフに話しかけてくださることも多いですね。あとは、子どもが最新マシンを見ている横で父親が、昔からある『ホットショットJr.』という名前を見て、“まだあるんだ!”と手に取るとか。ちなみに当時のホットショットJr. とはデザインも形式も違うんですけどね」(前出の松本氏)

 懐かしさという意味でも多い声は、

「“エンペラー(『ダッシュ!四駆郎』の主人公・日ノ丸四駆郎のマシン)ありますか?”なんて質問も、よく聞かれますよね。当時、コロコロを読んでいた世代にとっては特別な一台なんです。ミニ四駆は世代によって思い入れのあるマシンが違い、その人が子どもの頃に読んでいた漫画の影響って、大きいですね」(前同)

 親が思わず手を伸ばすマシンが、子どもにとっては新鮮な一台に映る。ミニ四駆は、そんな世代差ごと楽しめるホビーでもある。

 だが、現在のミニ四駆は、昔の遊びを懐かしむだけのものではない。今では加工技術やセッティングの知識も問われる、大人も本気で楽しめる精密ホビーとして広がっている。また、マシンそのものも進化し、走らせ方や改造の考え方は、かつてよりも奥深くなっている。

「大きく変わったのは、マシンの構造です。シャーシ(マシンの土台)が違うんですよ。以前はリアモーターが中心でしたが、2005年には車体中央にモーターを置く“MSシャーシ”が登場しました。重量物が中心にありバランスが良く、今はローラーはもちろん、おもりやブレーキをどう組み合わせるかが重要になっています」(前出の満園氏)

 こうした改造の奥深さに惹かれている利用者も多い。

 実際、同施設内のサーキットコースのある区画でマシンを調整していた、仕事帰りだという40代男性に話を聞いてみた。

「子どもが『コロコロコミック』を読み始めたことがきっかけで、またミニ四駆を始めたんですけど、気づいたら子どもよりハマっていましたね。大人になってからの魅力は、お金と時間を使えることです。昔買えなかったパーツを試せますし、家で加工したり、自分なりに工夫したりするのも楽しい。改造には2、3万円ほどかけていますが、大人の趣味として続けやすいんです」

 また、別の利用者も、

「ここに来れば誰かがいるんです。同じ趣味の人と会える場所になっているのが大きいですね。ミニ四駆は、ちゃんと作るとちゃんと走る。丁寧に作れば速くなる。だから、周りの人のマシンを見るのも勉強になるし、自分もまた改良したくなるんです」

 なぜミニ四駆は、これほど長く人を引きつけ続けるのか。満園氏は、その魅力についてこう語る。

「一番の理由は、どこまでいっても“答えがない”ところだと思います。作って、走らせて、また考えて、改良する。その繰り返しの中に楽しさがあるんです」

 かつての遊びは、大人を呼び戻しながら、次の世代にその魅力を伝える。そして今、この第4次ブームでハマった子どもたちが大人になって、またブームが来る……こうしてミニ四駆は走り継がれていくのかもしれない。