■見方を変えれば刺激的だったが
感動的なクライマックスだったが、視聴率も配信も数字はイマイチ。このままだと全話平均視聴率(第10話の段階で3.7%)が、月9ドラマのワーストを23年放送『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~ 』の5.3%から大幅に更新しそうだ。理由は明らかで、10話で5期、2話ごとに生徒役が変わってしまい、感情移入できなかったことに尽きる。
ただ、見ているうちに慣れてきて、毎回、生徒の間で揉め事があり、それを乗り越えるというパターンも、生徒が変わるおかげでマンネリ感は薄かった。また、寺尾創亮役を演じる黒崎煌代(24)、寺尾瑠夏役の伊東蒼(20)、南琴奈(水谷)など、実力派の若手がたくさん見られるのも、ショーケースのようで楽しめた。さらに、1クールで12年にわたるストーリーを描くという画期的な設定も、サバ缶を宇宙へ飛ばすという芯が貫かれていたため、ダレることはなかったのだが。
とはいえ、ドラマ好きでないと楽しめないのは確か。若手俳優のチェックや、ドラマの設定に注目して見続けるのは、一般視聴者とは縁がない話だろう。要は通好みのドラマだったのだ。
せめて、生徒は3代までに抑え、1期4話ペースにしていれば、結果は違ったかもしれない。ただ、そうなると、世代を超えて「夢」を継承していくというテーマが物足りなくなる。志は高かったのだが、それが視聴者に届かなかった、『サバ缶、宇宙へ行く』は惜しい作品なのだ。
(ドラマライター・ヤマカワ)
ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。