《え、また上がるのか……》

 SNS上にこんな声があふれたのは、AppleCEO、ティム・クック氏が、半導体価格の高騰を背景に「残念ながら価格上昇は避けられない」と6月17日に明言したからだ。さらに「これまで顧客への影響を抑えてきたが、もはや持続不可能」とまで踏み込んだ。

 iPhoneユーザーである40代男性は「今のiPhoneはもう5年間使い続けているので、今年は買い替えを本気で考えていました。でも今ですら目玉が飛び出るような価格なのに、これでも抑えていたって言われちゃうと……。市民の財布感覚とはかけ離れた存在になっちゃいそうですね」と語り、次世代iPhoneの値上げが“噂”ではなく、“前提”になったことにショックを隠しきれていない様子だ。

 オールコネクトマガジンから今月発表された最新調査によると、約4割が本体価格を理由に「iPhoneをやめる可能性がある」と回答。面白いことに、古い機種を使っている人ほど値上げをきっかけにAndroidへの乗り換えを視野に入れている傾向だという。

「時代が時代だから仕方がないとはいえ、5年前に買えた時との値段の違いにやはり躊躇します。なので、脱iPhoneはかなりリアリティがあります。他にどんな機種があるのか調べてしまいますし、昔のようなAndroidに対する拒絶感もありません」(前同)

 SNS上でも、《もうiPhoneは富裕層向け》、《分割前提のスマホはきつい》、《もはやパソコンを買う感覚になっている自分が怖い》といった声が見られる。

 重要なのはこの不満が、不満のままで止まるのではなく乗り換えへの“検討”に変わっていることだ。

 この変化について、ITジャーナリストの井上トシユキ氏はこう語る。

「そもそも“iPhone一強”という言葉は“端末とOSを混同した幻想”であって、すでにAndroidユーザーがiOSユーザーを逆転して伸びている状況です」

 さらに盤石だと思われた若年層のiPhoneユーザーに関しても、強固な意志があるものではないと、同氏は続ける。

「若い子になぜiPhoneを使っているのか聞いたところ、“推しや父親が使っているから”とか“なんかカッコいいから”といったフワッとしたものが多く信条みたいなものはほとんど感じられません。しかも彼らの中にはスティーブ・ジョブズを知らない子も多く、ジョブズについて語り、彼の動画を見せたところ“うわ、エモっ”の一言で片付けられました(笑)。デジタルネイティブのZ世代にとって、スマホはトースターとか炊飯器と同じ当たり前の家電のひとつでしかないわけです。財布を兼ねてるから尚更、当たり前にあってフツーに持ち運ぶものなんです。自分が使いやすければ、それでいい。シンプルに好みの話です。周りが気にしてるほどには熱くなってないんですよ、若いユーザーは」

 そういうところにも、iPhoneからAndroidへの移行が加速する可能性が垣間見える。