現在の大スマホ戦国時代よりも先にある大きな変化とは
この変化は、iPhone単体では終わらない。
Apple社が築いてきたのは、いわゆる“経済圏”だ。iPhoneを軸に、AirPodsやApple Watch、Mac Book、iCloudが連携することで、「抜けにくい環境」を作ってきた。
だが今、その前提にも揺らぎ始めている。SNS上では、《イヤホンやPCはそのままだけど、スマホはAndroidにした》、《全部揃える意味、そこまで感じなくなった》といった声が見られる。
こうした変化について、井上氏はこう指摘する。
「日本のSNSやnoteを見ていると、iPhoneは高すぎる、コスパが悪い、同じ機能ならAndroidの方が安いし、同じ価格なら性能も上。といった“iPhone下げ・Android上げ”の声が、ここ数年でかなり目立ってきています。YouTubeでも“iPhone離れ”をテーマにした動画が増えており、日本ではiOSからAndroidへとユーザーが流れている、そんな局面に入っていると言えそうです」
しかしこれらの動きも今後差し迫る本当の意味での“大スマホ戦国時代”の前哨戦にすぎないと同氏は述べる。
「歴史的に見ると、いまのスマートフォンは“完成されたプロダクト”に見えて、実は終盤に差し掛かっている可能性があります。ここから先に出てくる端末は、本命が登場するまでの“つなぎ”になるかもしれません」
その本命というのがAI前提の次世代端末だと同氏は続ける。
「本当に注目すべきは、“脱iPhone”とかそういう小さな話ではなく、“脱スマホ”の次の端末です。メガネ型なのか、時計型なのか、それとも全く新しい形なのか。AIを前提にしたデバイスがどんなインターフェースを持つのか、そこが本命となってくるでしょう」
価格やOSの選択を巡る揺らぎの先で、いま私たちは“スマホ後”の入り口に立っている。いまのスマホを前提にしている限り、その未来は見えてこないということのようだ。
同志社大学卒業後、会社員を経て1989年より取材執筆活動を開始。IT、ネットから時事問題まで各種メディアへの出演、寄稿および論評多数。企業および学術トップへのインタビュー、書評も多く手がける。