■2度の交代で与えた選手へのメッセージ

 後半19分に2度目の失点をしましたが、後半43分に小川航基選手が合わせたCKから、鎌田大地選手がゴール。選手の“勝ちたい”という気迫あるプレーがピッチの上で続いていた中での同点でした。

 それを導いたのが、森保一監督の素晴らしい采配です。2度目のリードを許した直後に、伊東純也選手を投入。昨年10月のブラジル戦もそうでしたが、彼がピッチに入るといい変化をもたらして、必ず何かをしてくれる。選手である以上、もちろん本人は先発で出たいでしょうが、日本が勝ち上がるためにはジョーカーも必要です。チームのために、試合を動かす大きな役割を果たしてくれました。

 それに対してオランダは3人を交代しましたが、直後の森保監督の交代策がカギになったと思います。菅原由勢選手を入れて前にいた伊東選手が下がらなくていい状態にすると同時に、上田綺世選手と途中出場の小川選手との2トップにして、鎌田選手を少し前に上げる。この采配で、“仕掛けていくぞ”“点を取りに行くよ”というメッセージをチームに与えました。流れを渡さずゲームを支配できた結果やタイミングなど、すべてが最高でしたね。

 攻撃だけでなく、守備も素晴らしかった。相手を自由にさせない気迫ある守備を全員で見せましたし、ボールを失った後の切り替えの速さは最高でした。

 この試合で忘れてはいけないのが、サポーターです。テレビ越しにも伝わってくるあの熱い応援が、チームを奮い立たせました。選手とサポーターが一体となった姿は素晴らしかったです。

 締め切り時点で第2戦チュニジア戦の結果は分かりませんが、4年間の成長を見せての素晴らしい戦いをしてくれているはずです。高みを目指す日本代表を、さらに応援していきます。

ラモス瑠偉(らもす・るい)
1957年2月9日生まれ。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ出身。77年に来日し、読売サッカークラブ(東京ヴェルディの前身)でプレー。攻撃の核として5度の日本リーグ優勝に貢献し、得点王を2回、アシスト王を3回獲得した。93年にスタートしたJリーグでもヴェルディ川崎の中心選手として活躍。チームを初代王者、さらに連覇に導くとともに、自身は2年連続でベストイレブンに選出されるなど、Jリーグの草創期を支えた。89年に日本に帰化して日本代表でもプレー。司令塔としてアジアカップ初優勝をもたらし、94年W杯予選でもチームをけん引したが、あと一歩というところで本大会の出場権を逃した。98年に現役引退。指導者としては古巣の東京VとFC岐阜で指揮を執り、ビーチサッカー日本代表の監督としてW杯で世界を凌駕する活躍を見せた。国際Aマッチ通算32試合1得点。2018年、日本サッカー殿堂入り。
ラモス瑠偉公式サイト:http://www.ramos.jp/
(本連載取材協力:KAKU SPORTS OFFICE)