■どの描写も物足りない『風、薫る』
指摘されていることはいろいろあるが、共通しているのは描写の薄さだ。養成所の閉鎖と卒業後の就職先の問題は前週から描かれていて、それをどう解決していくのかと思っていたら、いつの間にかバーンズ(ハワード)が大山捨松(多部未華子/37)らに根回ししていた、で終わり。千佳子(仲間由紀恵/46)の再登場は胸熱だったが、バーンズ奔走の描写はあっさりしすぎだ。
また、しのぶ(木越)と喜代(菊池)が看護師にならない道を選んだが、セリフだけでなく、その結論に至ったエピソードも描くべきだった。そうでなければ、それぞれの道に同級生が進んでいくという、感動の卒業式になるはずもない。さらに、養成所でいったいなにを学んだのかという声もある。
これについては、団子屋の主人が倒れて、そこに居合わせた見習生たちが介抱したシーンがあったが、あれで立派な看護師になったと強調したかったのだろうか? 次週は、りん(見上)と直美(上坂)らが看護師として働きながら、帝都医大病院看護科の生徒の指導をするはずだが、この流れでは説得力はないだろう。
視聴者は、メインであるりんと直美が看護師として生きていく姿を見たいはずだが、安(早坂)の結婚、虎太郎とシマケン(佐野晶哉/24)の恋のつばぜり合い。さらに、作家を目指すシマケンの苦悩も描かれ、話は今後も横道にそれそうだ。要は描かれるべきことが描かれていない。それが視聴者の不満の根本だろう。
キャラ描写への不満、ストーリーや演出の不自然さなど、視聴者が離れる理由はいろいろあるだろうが、必要なものが描かれていないのでは、ドラマを楽しむ以前の問題だ。平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、13%台と14%台を行ったりきたり。この薄い作りが続くようなら、今後も浮上は難しそうだ。
(ドラマライター・ヤマカワ)
ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。