■ミステリー部分も気になる『銀河の一票』

 本筋の都知事選はそこまで進まず、メインキャラの茉莉(黒木)とあかり(野呂)もあまり動かずの、最終章へのつなぎ回だった。中だるみになるかと思いきや、サブキャラが活躍。介護士・相良(伊能昌幸/30)に風間(梶)、なんといっても光留(日高のり子/64)が圧倒的で、最後をビシッと締めてくれた。

 主人公側の「チームあかり」にとどまらず、ライバル候補の陣営の人々まで、キャラみんなが生き生きと躍動する姿は、序盤の名言「誰も取りこぼさない」を体現したようで、その描き方は見事。《誰かを落として誰かを上げることはしない。登場人物たちが生きている物語だ》という称賛の声にも納得だ。

 一方で、物語のタテ軸となっている、学部長転落事故に関する謎の手紙についても、しっかり動かしてきた。転落死した学部長を『銀河鉄道の夜』の登場人物、ザネリと重ねる表現があったのだ。ザネリは川で溺れるが、カンパネルラに助けられて一命を取り留める。一方のカンパネルラは死んでしまうのだが、これは学部長が実は生きていて、それに関わる誰かが死んでいることを示唆しているのか? Xでは助ける役のカンパネルラは鷹臣(坂東)だという指摘があるが、ここまで権力に執着する醜い姿が強調されてきた鷹臣には、別の顔があるのかもしれない。

 互いが相手を追い落とす選挙の結果が気になるが、そこでもきっと「誰も取りこぼさない」が表現されるのだろう。シンプルな善悪の構図で終わらない、もがきながらもみんなで「明るいほうへ行く」姿が、ラストに提示されるはずだ。第9話の平均世帯視聴率はここにきて、4.1%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と0.2ポイント上昇。最終盤の盛り上がりに期待したい。(ドラマライター・ヤマカワ)

ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。