■元テレビ朝日プロデューサー「一刻も早く、マラソン以外のチャレンジに変えたほうが」
もう長らく言われている、チャリティーでマラソンを走ることの意味とは、しかもそれを猛暑の中で行なうことへの疑問――元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏は、『24時間テレビ』を制作する日本テレビが、頑なにマラソン企画を続ける理由について、こう分析する。
「想像するに、“何かを訴えて頑張っている”というのが伝わりやすいからではないでしょうか。マラソンは苦しいもので、ランナーが必死な表情を浮かべながら一生懸命走る姿が長時間映りますからね。そして、空調の効いた屋内ではなく、屋外で行なう理由としては、外を走ったほうが沿道からの声援があるので盛り上がるのと、景色が変わって“ここまで来た”というふうに映像的にも盛り上げられるというのはあるでしょう」(鎮目氏、以下同)
一部では、マラソン企画を2日間通しての番組の“軸”にすることで、『24時間テレビ』に視聴者の関心を惹きつける目的があるとも言われているが――、
「現在の『24時間テレビ』は、コーナーごとに企画がバラバラ。視聴者からすれば、『24時間テレビ』と銘打っても、別々の番組をずっとつなげて放送しているようにしか見えないんです。だからこそ、番組を支える縦串として、長時間のチャレンジ企画が必要なんだとは思います」
だが、鎮目氏は「とはいえ、一刻も早く、マラソン以外のチャレンジに変えたほうがいいと思います」と言い、こう続ける。
「国も注意喚起しているような暑さですから、もう時代に合わないですよね。 “番組を支える長時間のチャレンジ企画”であれば良いのですから、炎天下の外を走らせなくても、もっと体に無理がなくて、そのうえで努力を感じさせる企画はいくらでもありますよね」
前述のように日本の夏は昔に比べて暑くなった。『24時間テレビ』で最初にチャリティーマラソンが行なわれたのは33年前の1992年だが、放送当日(8月29日・30日)の東京都の最高気温は32.6度と31.7度(気象庁の公式サイトより、以下同)だった。一方で、2025年の『24時間テレビ』が放送された8月30日・31日の東京都の最高気温は38.5℃と36.8℃。92年と比べて、5度以上も上昇している。
「現在では、小学校の学校行事が延期になったり、高校野球も試合時間をずらしたり――日本中、もっと言えば世界中が“夏は無理な運動はしない”という方向ですよね。そんななか、『24時間テレビ』はものすごく時代に合わないことをしています。そして、もはやそういう話題が大きくなってしまって、逆に、マラソンランナーである星野さんが訴えたいメッセージが伝わらなくなってしまう気もします。
日本は、気候に関して言えば、もう『24時間テレビ』でマラソン企画を始めた頃とは違う国。もはや“熱帯”のような暑さの国ですよね。それなのにずっと同じことをやっていてはダメだと、いつ日テレは気づくのでしょうか……」
放送まで約2か月。2008年のホノルルマラソンを4時間24分36秒で完走した実績もある星野は今後、チャリティーマラソンのためのトレーニングを積んでいくのだろう。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)