■終始「?」だった『田鎖ブラザーズ』

 X上では、《面白かった。いろんな想像の余地を残した幕切れは僕は全然オッケーだし、あれこれ説明してしまうのは野暮だと思うので、このラストで納得。奪われてしまった、きっとあるはずだった、ありきたりの幸せな食卓が沁みる》など、視聴者の解釈の幅をもたせたラストを称賛する声は多い。

 一方、というか、批判の声は《ふみが海外で手術したことによる時効期間については全く絡みなし。真は晴子を撃ったよね?それとも拳銃は暴発して怪我しただけ?最後のシーンで家族4人が楽しそうに食卓囲むところはとても良かったけど…もっちゃんは殺されたの?自殺なの?小池は結局…あーすっきりしない(涙)》などと、称賛以上に多い。

 批判はごもっともという感じだ。付け加えるなら、銃の取引ができなかっただけで運び屋が殺されてしまうのが謎すぎる。たとえば、取引ができないことで警察に勘付かれたとかなら、口封じで殺すというのはわかるが、そんな描写はなし。そもそもの発端であり、一番悪い五十嵐組の人間が、「死んでいました」で終わり。復讐すべきは晴子ではなくて五十嵐組なのでは?

 岡田と染谷の演技で重厚に見せていたが、脚本があまりに粗すぎた。『銀河の一票』(カンテレ制作・フジテレビ系/月曜よる10時~)と比較する声もあるが、こちらは登場人物それぞれに行動の裏付けがちゃんとあるのに対し、本作はそこを曖昧にしたまま。ストーリーにそれぞれの行動を当てはめていくご都合展開なため、「?」な場面だらけになってドラマに入っていけず、結果、感動もなくモヤモヤだけが残る……。批判の根っこにあるのはそれだろう。

 金曜ドラマ枠の人気作『MIU404』、『最愛』などを手掛けた新井順子氏がプロデューサーということで期待は大きかったが、プロデューサーの力だけで、なんとかなるものではないようだ。ドラマ作りは難しい。『田鎖ブラザーズ』によって、それが教えられることになるとは思わなかった。

(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。