神奈川県川崎市の港に約8年間放置されていた、海賊船を模した遊覧船『Anniversary Cruise(アニバーサリークルーズ号)』。船体の水没などで周辺への危険性が高まったことから、川崎市は6月17日、約3330万円をかけた解体作業を開始した。
「この船は1997年頃に建造され、東京湾や千葉、神戸などで観光遊覧やパーティー用に使われていました。2017年にはアニメ『けものフレンズ』の声優ユニット『どうぶつビスケッツ×PPP』の2ndシングル『フレ!フレ!ベストフレンズ』のショートMV撮影にも使用されるなど、メディアへの貸し出しも行っていました。
しかし、そのMVで脚光を浴びたにも関わらず、翌年から突如として船は桟橋に放置されるようになったんです。長らくそのままにされていたので強風の影響で船が傾き、一階部分が浸水。まるで“沈没船”のような状態になっていました」(地元紙記者)
3000万円を超える税金負担によりなされる解体作業──。報道によれば、専用の船の上にショベルカーを載せての大掛かりな工程になるという。なぜ8年も放置され、解体されることになったのだろうか。
船は2018年10月、桟橋に突如として係留された。船の「所有者」は個人のA氏、「運航会社」はB社だった。市の関係者が明かす。
「詳しい経緯は分からないのですが、B社が市内にある廃棄物処理業者のC社と“船を置かせてもらう”契約を結んだといいます。しかし、この場所は『川崎港放置等禁止区域』だった。すぐにこの件は問題になり、同年11月に川崎市は船の撤去を求めてC社に指導を開始。すると翌年の19年にC社はB社との契約を解除したんです。
その後、市からの撤去指導を巡る責任問題がトラブル化。C社は船の所有者であるA氏とB社を提訴し、2021年に勝訴が確定。A氏とB社に、船の撤去と未払い使用料等の支払いなどが言い渡されたんです。だが、市のヒアリングではA氏とB社に資産がないと判明し、船はその後も放置され続けてきたんです」(前同)