■ライバルが猛追!クビ差しのいでV
スタートはほぼ互角。ハナを主張せず、2番手からレースを進めたのは、“そういう展開もあるよな”と頭の中で想定していました。
道中は、これまでで最高と言っていいほど、良いリズムで走り、レースは勝負の直線へ。
大阪杯、天皇賞(春)を制し、春古馬三冠を狙っていたクロワデュノールが、猛追してくることは分っていました。迫ってくる物すごい脚音も届いていました。
「頑張れ、タバル。もう、ちょっとや!」
心の中で叫びながら、同時に、後ろに向かって、「頼む! 今日だけは、来ないでくれ!!」
と祈るような気持ちで、懸命に馬を追い続けていました。
10月4日に開催される凱旋門賞まで、3か月ちょっと。これまで日本馬が悩まされて来たヨーロッパ特有の重い馬場も、タバルにとっては強い味方。2番手からでも競馬ができることを証明し、胸を張って挑める今年の凱旋門は、もう楽しみしかありません。
武豊57歳。今がまさに、ピーク(笑)。遅咲きですが、ついに、そのときがやって来ました。
武豊(たけ・ゆたか)
1969年3月15日、京都府京都市生まれ。1987年3月1日にJRA騎手デビュー。翌1988年、スーパークリークで菊花賞を制しGI初勝利。以後、オグリキャップ・サイレンススズカ・スペシャルウィーク・ディープインパクト・キズナ・キタサンブラック・ドウデュースなど歴代名馬の手綱を取り、国内外GI通算100勝超を達成した“レジェンドジョッキー”である。2018年9月には史上初のJRA通算4000勝、2024年度JRA賞特別賞と黄綬褒章を受章、2025年8月5日には前人未到の4600勝を達成した。現在もトップクラスで騎乗を続ける“競馬界の第一人者”兼“最多記録更新請負人”。