日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、戸田氏が注目したのは、医療界で昨今、急増している「直美」問題についてです。
日本の医療界で、若手医師のキャリア選択を巡る変化が起きています。医師免許を取得した後の初期研修を終えたばかりの若いドクターが、内科や外科といった一般医療の専門科を経ずに、自由診療である美容医療の道へダイレクトに進む「直美(ちょくび)」と呼ばれる現象が急増しているのです。
厚生労働省の統計によると、美容外科に従事する医師数は2024年に1700人を超え、2008年と比較して6倍以上に増加。特に2022年時点で20〜30代の医師が占める割合は50%を突破しており、この10年間で約20%も増えています。
本来、医師と言えば、人の命を救うための厳しい現場で何年も研鑽を積むのが一般的といわれる。だが、最初から高額な報酬や充実したオフタイムが期待できる美容分野を選ぶ若手が増えている背景には、過酷な勤務や患者を死亡させてしまうかもしれないリスクから逃れたいという風潮に加え、健康保険制度が将来的に崩壊するかもしれないという危機感から、現状に見切りをつける心理があるようです。