■パ攻略のカギは内角 勇気を持って攻めろ

 もう一つ感じたのは、パ・リーグは主軸を打つバッターだけでなく、1番から9番まで全員が「強く振れる」傾向にあるということです。特にソフトバンクが、そうでした。

 自分のポイントでしっかり振るため、真っすぐに差し込まれてのファウルが少ないんですね。変化球を空振りしても、それを気にせず、次も真っすぐのタイミングでどんどん振ってくる。結果として長打も増えます。

 タイガースが甲子園3連戦でソフトバンクに打たれた10本のホームランは、それを象徴していました。

 選手層も厚いですね。本塁打王4度の山川穂高は6月18日時点で二軍調整中。去年の交流戦MVPの柳町達は不調で今季は二軍落ちも経験。それでも、勢いのある若手選手が彼らと遜色のない働きを見せました。

 現状では、セ・リーグがパ・リーグに力負けしているのは明らかです。そこを認めなければ、今後の成長はありません。

 私はパ・リーグのバッターを抑えるには、バッテリーがインサイドを厳しく攻めることが重要だと思っています。アウトコースのボールの出し入れだけでは通用しないでしょう。

 インサイドの厳しいコースは、ほとんどのバッターに共通する弱点です。打ちにいって差し込まれれば、どうしてもポイントを前にしようとします。あるいは体の近くを突かれたら、誰でもイラッとするものです。

 そうやって揺さぶることができれば、バッティングの形が崩れる可能性も少なくありません。

 もちろん、インサイド攻めにはリスクが伴います。甘く入れば長打を食らうこともあるし、デッドボールになるかもしれない。それでも、勇気を持って攻められるのがプロです。

 来季はセ・リーグにもDH制が導入されます。もうDH制の有無を敗因の言い訳にはできません。セ・リーグの野球がどう変わるか、今から楽しみです。

矢野燿大(やの・あきひろ)
1968年12月6日生まれ。90年ドラフト2位で中日ドラゴンズへ入団。97年オフにトレードで阪神タイガースへ移籍すると、正捕手としてチームの躍進を支え2度のリーグ優勝に貢献。