■ワールドカップの裏で大好評

 人間関係の難しさを感じさせる週だった。X上では、《古川琴音が無表情なのに喜怒哀楽が伝わる演技がいい。いい女優さんだわ》《見ている人にも考える時間をくれるとても良いドラマですね》《このドラマを観ていると、連続ドラマは1話15分で充分なのでは?と思えてくる。それ程に濃密な15分》などと、多くの絶賛の声が。

 ベテランから若手まで演技巧者揃いで、すべての登場人物から目が離せない本作。無口なキャラながら、ちょっとした表情の変化などで感情の揺らぎを表現する古川(象子)はもちろん、和久井映見(伯母・弥生)の忙しい日々の中で、象子を静かに見守る優しさ。さらには伊藤(麗華)の、弱さを内包した天真爛漫さを表現する演技も素晴らしい。

 また物語には、今週であれば「人の役に立つこと」「人のことを分かろうとすること」というテーマがしっかり芯に据えられていて、メッセージが明快。それぞれの演者が役にきっちりハマって演じるので、彼らの会話や表情から情報がもれなく入ってくる。15分という短い放送枠でありながら、ものすごく濃密なのだ。

 夜ドラは作品によって放送回数が違うが、本作は前期『ラジオスター』に続いて長めな8週の全32回。7月17日まで放送されると思われる。現在、開催されているサッカーワールドカップの対応で民放局は春ドラマを早めに終わらせたが、そのスキマでドラマ好きをかっさらおうという考えか。SNSの反応を見る限り、NHKの狙いはみごとに当たったようだ。

(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。