“思い出”が資産になる時代――レトロゲームバブルとの危険な共振
この熱狂は、単なる“懐かしさ”だけでは説明がつかない。背景にあると思われるのが、いま加速するレトロゲームバブルだ。
某大手リサイクルショップ店員は「中古ゲーム市場では、海外コレクターや投資マネーの流入により価格が高騰し続けています。特に90年代のゲームボーイ時代の象徴的な存在である、初代ポケモンの“箱、説明書付き美品”となると、数万円はくだらないです」という。
“遊ぶためのゲームソフト”だったはずのものが、今やコレクターズアイテムや投資対象へと変質し、“保有する資産”へと変わっている。今回のグッズはそんなレトロゲーム好きとポケモン好き、その双方が相乗りするようなカタチで大きな需要を生んだと言えそうだ。
SNS上でも、《これは将来プレミアつく》《開封できない》《保存用でもう一個欲しい》といった声が目立つ。純粋なファングッズでありながら、その扱いはコレクターズアイテム、あるいは投資対象に近い。
こうした状況に対し、《子ども向けじゃない》《転売前提の商品になってる》といった違和感も噴出している。
先のリサイクルショップ店員は続ける。
「かつてポケモンは、ゲームボーイを持ち寄り、通信ケーブルでつながる“遊びの共有体験”でした。だけどその経験をした大人たちが、本来では子どものおもちゃであるはずのポケモンの在り方を、その文脈ごと大きく変換しています」
子どもは興味を示さず、大人がノスタルジーと資産価値を求めて群がる。さらにそこに転売が介在し、価格がつり上がる混沌。気づけばポケモンは、“思い出を媒介にしたマネーゲーム”の一部へと組み込まれている。
かつて子どもたちの遊びだったポケモンは、今や大人たちの記憶と資産価値が交差する場所へと姿を変えつつある。その変化を最も象徴しているのが、今回の“グッズ争奪戦”だったのかもしれない。