日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回は、ビジネスマンの安息地であるカプセルホテルの高級化と環境の劇的変化について注目した。
今年1月、日本政府は2025年の訪日外国人客数が推計で約4270万人に達し、史上初めて年間4000万人を突破したと発表。消費額も約9兆5000億円と過去最高を記録しており、日本経済における外貨獲得の柱として、自動車輸出に次ぐ規模へと成長しています。
一方で、爆発的なインバウンド需要による潤いの裏で、国内の宿泊環境は大きな転換期を迎えました。近年、ホテル代の高騰が各所で指摘されてきましたが、その影響はついに、サラリーマンの「最後の砦」とされてきた簡易宿泊施設にまで波及。1979年に日本で誕生して以来、終電を逃した会社員や出張者の駆け込み寺として機能してきたカプセルホテルが、外資系ホテルの進出や市場の競争激化、さらに旺盛な外国人需要の取り込みによって、急速な高級化の道を突き進んでいるのです。
もともと1泊2000~3000円程度が主流だったカプセルホテルですが、現在は設備やサービスの質向上に伴い、5000円を超えるタイプが一般化。さらに混雑状況や立地によっては、1泊1万円を超えるケースも珍しくなくなりました。
旅行経済の専門メディアが公表した2024年の「カプセルホテルの市場調査データ」によると、利用目的のトップは「旅費を抑えることができるから」で54.3%を占めていますが、それに次いで「終電を逃してしまったから」という理由も21.1%にのぼっています。また、同調査では日本人の約3割がカプセルホテルを利用した経験があると回答。男女別の回答では男性が全体の14.0%、女性が2.4%が利用経験ありと、現時点では男性ユーザーが中心の市場でした。