加速する高齢化社会とともに、「介護」も日常生活で当たり前に耳にする時代となってきた。家族問題研究家の池内ひろ美さんは、介護の難しいポイントとして、「先が見えない」ことと、“感謝されにくい”ことを挙げる。どれだけ結婚生活を長く続いていたとしても、「介護」がきっかけで離婚するケースも増えているのだとか。池内さんが、「介護離婚」の実態を高井夫妻のケースをもとに明かす。

夫・高井信夫さん(会社員/52歳・仮名)
妻・淳子さん(専業主婦/52歳・仮名)

 夫である信夫さんの両親は近所に住んでいて、母は3年前に逝去。父は体調が悪く、入退院を繰り返している。入院している間はいいが、退院すると、妻の淳子さんが義父の自宅へ通って食事を作るほか、洗濯や掃除など家事のすべてを担当しなくてはならず、そのために淳子さんは仕事を辞めたという。淳子さんが話す。

「義父は時々排泄の失敗もするんですけど、オムツを頑なに拒否するんです。ヘルパーさんを頼もうと提案しても、“世間体が悪いし他人を家に入れるのが嫌だ”といって、義父はヘルパーを断る。ケアマネージャーさんに説得してもらったこともあるのですが、全く耳を貸しません」

 疲弊する淳子さん。夫である信夫さんに相談するも「君は仕事を辞めたから、時間があるでしょ? 僕は今、会社で責任ある立場なので仕事が最優先」と取り合ってはもらえない。介護に無関心な夫に、淳子さんは「なぜ私だけが仕事を辞めて、私ばかりが介護をやらなければならないのか」と夫婦喧嘩を繰り返すばかり。

「せめて“ありがとう”と言ってもらえればと思うのですが、義父からも、夫からも感謝の言葉を聞いたことは一度もありません。正直、介護は自分の親でもキツイと思うんですけど、夫の親はなおさらキツイ。良かれと思って提案したことも突っぱねられるとなると、やってられないな……と萎えるしかありません」(前同)

 その後、信夫さんの無理解に争う気力を失った淳子さんは、家を出て別居。その後、離婚が成立したという。一体、どうすれば高井夫婦は離婚をしないでよかったのかを、家族問題研究家の池内ひろ美さんが解説する。