■常勝軍団が復活した鳥越裕介の神ノック

 平良海馬、高橋光成、渡邉勇太朗、隅田知一郎、武内夏暉、ワイナンスと並ぶ先発投手陣は、おそらく12球団随一でしょう。

 中でも、平良はセ・リーグにはいないタイプですね。独特のクイックモーションからカットボール、ツーシームと多彩な変化球で右バッターのインサイドを攻めてくるし、真っすぐも最速160キロと、めっぽう速い。初対戦で平良を攻略するのは難しいと思います。対戦したセ・リーグのバッターは面食らったはずです。

 そんな西武のここ数年の課題が、得点力不足でした。しかし、今年は6月24日時点でネビンが11本塁打、カナリオも6本塁打と、両外国人選手が打線にハマっている。

 もう一つ、西武の強さで見逃せないのが守りに対する意識の高さです。

 それを象徴する場面が6月7日、中日との試合でありました。延長11回裏、中日が2死満塁とサヨナラの好機を迎えた場面で、西武は鮮やかにピックオフプレーを決めたんです。

 一塁手のネビンが塁を離れ、一塁走者の細川が大きなリードを取ると、捕手のサインで後方にいたネビンがスルスルとベースに走り込む。すると、投手の上田が素早く牽制球を投げ、細川はタッチアウト! 年に1度あるかというプレーですが、それを決められるのがプロ。タイガースも1年前にやられています。

 改めて、昨年からヘッドコーチになった鳥越裕介の存在の大きさを感じます。かつてソフトバンクのシートノックは日本一だと言われましたが、その中心にいたのが鳥越でした。

 一つのアウトが勝敗を分ける。それが野球です。鳥越は打球への足の運びから捕球・送球に至るまで、一つ、一つのプレーに対する責任感や執着心を、西武ナインに植え付けました。

 充実した投手陣と強固な守備力は、パ・リーグのライバルチームにとっても大きな脅威となるはず。常勝軍団復活です。

矢野燿大(やの・あきひろ)
1968年12月6日生まれ。90年ドラフト2位で中日ドラゴンズへ入団。97年オフにトレードで阪神タイガースへ移籍すると、正捕手としてチームの躍進を支え2度のリーグ優勝に貢献。