■恋愛ドラマとして見ればいいのだが

 りん(見上)が大腸がん患者の山本(本田)の担当になったことで、看護のシーンが増えて落ち着いて見られるようになったが、X上では、《このドラマは看護でも女性のバディでもなく恋愛を中心に描く事にしたのかもな。りんも直美もモテモテ。(でも全然面白くない)》などと、ちょいちょい入る恋愛要素に戸惑う声が多い。

 また、7月2日放送の69話、りんとシマケン(佐野)の会話シーンで、りんは「シマケンさんは私のトンビ」と言っていたのだが、「トンビ」の意味がわからないという声が多数、上がっていた。これはおそらく、以前、2人で紙飛行機のことをトンビと呼び、それを飛ばすとモヤモヤが晴れると話していたので、シマケンは“モヤモヤを晴らしてくれる人”といいたかったのだろう。りんの好意の表現だったのだが、残念ながら視聴者には伝らなかったようだ。

 ウジウジのシマケンとグイグイいく小川(甲斐)で、りんと直美(上坂)それぞれの恋模様を対比させているのはわかる。ただ、りんとシマケンのパートは、セリフなどの感情表現が、朝の時間帯に見るには繊細すぎる。トンビについても、2人の恋模様をメインで描いていれば、視聴者も気づいただろうが、病院や家族の描写も入ってくるので埋もれてしまったのだ。

 脚本の吉澤智子氏は『NHK出版デジタルマガジン』のインタビュー(4月25日更新)で、「恋愛ドラマを中心に脚本を書いてきましたが、いつか女性のバディものを書きたいと思っていたその夢がやっとかなう」とコメント。確かに、吉澤氏は24年放送『くるり〜誰が私と恋をした?〜』(TBS系)をはじめ、恋愛ドラマを多く手がけている。繊細な表現は、そのクセが出ているのかもしれない。

 恋愛ドラマとして捉えればありだが、朝ドラとしてはわかりにくいセリフや演出。モヤモヤの正体はおそらくそれだろう。いっそ、もっと恋愛に振り切れば盛り上がるのかもしれないが、主人公の成長をメインに描かれる朝ドラでは、そうもいかない。りんも直美も早く落ち着けば、変わるのだろうか。

(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。