■夫が妻の信頼を取り戻す方法を専門家が解説

「犬の世話をしないから離婚する」と聞くと、妻のわがままが過ぎると思われるかもしれません。しかし、それも夫婦がたどってきた歴史の結果ともいえます。

 両親の介護を想像したとき、夫が妻にとって「頼りになる人」であれば問題ありません。老いていく親を支え、看取っていくことを夫婦で力を合わせて行うことができます。しかし、妻はそれができないと判断して離婚を決意しました。

 その判断の理由となったのは子育てにあります。

 職場が人生の中心だった幸雄さんは、子供たちの子育てに協力していなかった。理子さんだけが子育てに奔走し、2人の子供が独立したときようやくパートタイムの職に就く。さあこれから妻自身の人生を歩もうと思った頃に、犬を預かることとなる。しかも慣れない犬の世話に夫は無関心で妻に任せきり。それはまるで、親の介護の前哨戦のようにも妻には感じられます。

「親の介護となったら自分も協力する」と夫がいくら話しても、それまで子育てにも犬の世話にも協力してこなかった人間の言葉に説得力はありません。夫婦にはそれぞれの歴史があります。その歴史を振り返って、間違いがあれば謝り、足らないところがあれば、言葉だけでなく行動で補っていかなければ、妻の信頼を取り戻すことはできません。

池内ひろ美(いけうちひろみ)
1961年生まれ。家族問題評論家。吉本興業所属。一般社団法人ガールパワー(Girl Power)代表理事。家族メンター協会代表理事。内閣府後援女性活躍推進委員会理事。これまで約4万人のカップルの結婚・離婚相談に乗ってきた。1996年より「東京家族ラボ」を主宰。『とりあえず結婚するという生き方』『妻の浮気』など著書31作品。