結婚20年以上の夫婦による「熟年離婚」の割合が増えている。厚生労働省の人口動態調査によると、2022年の同居20年以上の離婚は約3万9000件に上り、全体の23.5%を記録しているという。
子育てが終わり、定年や早期退職など、人生を見つめ直したとき、離婚は新たな人生を歩むための一歩ですが、なかには「介護をするのがイヤ」という理由で離婚を選択する夫婦もいるようだ。今回は家族問題研究家の池内ひろ美さんとともに、「介護前離婚」の実態を市川さん夫妻のケースをもとに検証する。
市川巧さん(会社員/55歳)
妻・未歩さん(会社員/54歳)
夫である巧さんは神奈川県出身。本人は実家を離れているが、両親と巧さんの妹は今も全員、神奈川県内に住んでいる。
「夫の妹が怖いんです」
こう語るのは妻の未歩さんだ。何が怖いのかというと――。
まず義理の妹は、浪費家で派手好き。結婚時も「働きたくない」と高収入の夫をつかまえ、自分は狙い通り専業主婦の座に収まった。そんな妹は実母とは仲良し。結婚時には、「子育ては実家の近くのほうが親を頼れる」と目論み、両親からマンションの頭金を出してもらい、実家から車で30分ほどのところに新居を構えた。その後、2人の子供を育てるにあたっては実家の両親を頼ったほか、なんと毎月10万円ほど両親から“子育て支援金”を受け取っているという。妹家族はお盆や正月でなくとも実家を頻繁に訪ね、特に妹は実母と一緒にしばしば旅行に出かけているそうだ。
「義妹は、自分の親の前では“いい子”なんです」
未歩さんはそうボヤく。
「二言目には“長男の嫁は大変ね。親に何かあったらがんばってくださいね”と言うんですよね。何かあったら、って結構意味深じゃないですか。だって義両親はどちらも80代。今のところ大きな病気はしていませんが、足腰は弱っているし、いつ介護状態になってもおかしくない。いざそうなったら、絶対私にすべての労働が降り掛かってくる気がして……」
義理の妹との間にコミュニケーション不和を抱える未歩さんは今後、どのように家庭内で振る舞うべきなのか。家族問題研究家の池内ひろ美さんが解説する。