■打者勝負をさせるな積極的に走りまくれ
巨人とヤクルトに共通するのは、チームが移行期にあるということ。中心選手も、ベテランから若手へ切り替わりつつあります。こうした局面ではチームの意識改革が進みやすい。
ベテランと違って、若手には走れる選手が多い。「若いんだから、どんどん行け」と首脳陣が背中を押せば、走塁は積極的になり、自ずと盗塁数も増えます。
私自身、キャッチャーをやっていて、一番嫌だったのが走るチームでした。仮に進塁できなくても、「このチームは、いつ走ってくるか分からない」と思わせれば、相手バッテリーにはプレッシャーがかかる。逆に走ってこないチームなら、バッターとの勝負に集中できます。
私も2018年に二軍監督に就任して、最初に行ったのが走塁改革でした。積極的に足を使うことがチームの活性化にも、選手の可能性を広げることにもつながると思ったからです。
盗塁は基本的にはフリー。アウトになっても叱りません。失敗した原因を選手自身で見つけるために、どうするべきか。それを一緒に考える。失敗から学べばいいんです。私たちがしたのは恐れず、チャレンジする環境を作ることでした。
結局、この年、タイガースの二軍は12年ぶり5度目の日本一。盗塁数はウエスタンリーグ新記録となる163個(115試合)。しかし247回盗塁を試みての数字ですから、失敗も日本一。
でも、私は247という数字を誇りに思います。それだけの数のチャレンジしたんだから、失敗が多くて当然です。
今季から日本のプロ野球もメジャーに倣い、ベースが大型化し、塁間が10センチ以上、短縮しました。メジャーでは盗塁数が増加したそうですが、日本球界は、どうなるのか。注目したいポイントですね。
矢野燿大(やの・あきひろ)
1968年12月6日生まれ。90年ドラフト2位で中日ドラゴンズへ入団。97年オフにトレードで阪神タイガースへ移籍すると、正捕手としてチームの躍進を支え2度のリーグ優勝に貢献。