AIが人間の仕事を奪う“かもしれない”──世界では、その予想が現実となった。

「イギリスでは、2026年1〜3月期の16歳から24歳のニートが100万人を超えました。今後5年以内に125万人に上り、若者の6人に1人がニートになる恐れがあると指摘されています」(全国紙外信部記者)

 その要因の一つが、生成AIが資料作成やデータ入力など、新人が担ってきた仕事を自動化したことだ。そのため若者は最初の職を得られず、職歴がないので採用されないという悪循環に陥っている。だがそれは、無学な若者だけの話ではない。世界では、いわゆる“高学歴ニート”が増えている。

「特にITが進んでいる国ほど、AIによって高学歴の若者が就職しづらくなっています。5月、アメリカ・アリゾナ大学の卒業式にグーグルの元CEOエリック・シュミット氏が登壇しました。晴れの式典ですから、本来ならスピーチには喝采が送られるもの。ですが、シュミット氏がAIについて触れた途端、会場からはブーイングが起こりました」(前同)

 他にもお隣中国では、「タンピン(寝そべり族)」や「全職兒女(フルタイム子供)」という現象が深刻化。景気減退も相まって、高学歴でも出世を望まない若者、働かず実家で暮らす若者が増えているという。

 では、日本の実態はどうか。第二新卒・既卒に特化した就職支援を行う就活エージェント、株式会社UZUZ代表取締役社長の岡本啓毅氏が解説する。

「日本の新卒者全体の就職率は、依然、高い水準を維持しています。一見すると、日本では高学歴ニートが急増しているようには見えません」(以下、カギカッコ内のコメントは岡本氏)

 ただ、世界の事情は対岸の火事、と決めつけるのはまだ早い。リクルートワークス研究所の調査によれば、2025年卒の大卒求人倍率は1.75倍だった。それが2026年卒で1.66倍、2027年卒では1.62倍と緩やかに低下。同数字は、就職希望者1人あたりに企業の求人が何件あるかを示している。着実に、採用の厳選化が進んでいるのだ。

「就活は、早期化と長期化が同時に進んでいます。順調そうに見えた上位大学の学生であっても、就活の途中で燃え尽きてしまうケースを見ています。高学歴ニート予備軍とも言える相談は、実際に増えていると感じます」

 この指摘は、数字にも現れている。文部科学省・学校基本調査によると、2025年春の大学卒業者は58万4304人。そのうち進学も就職もしていない人は4万2120人で、全体の7.2%に上る。高学歴者では、東京大学卒業生のうち9.8%が、慶應義塾大学卒業生の10.9%が就職していない。中には大学院試験落選者なども含まれているとはいえ、大卒全体と比べても高い水準だ。