いよいよ夏本番。5月から記録的な暑さに見舞われた今年、例年より早い時期から蚊に刺されたという声が相次いでいる。

 SNS上でも《もう刺された》《今年は蚊が多い気がする》といった投稿が目立ち、中には、子どもの足に何十カ所も刺された跡が残ったという声も。

 実際、専門家の間でも、今年は蚊の発生が例年より早まっているとの見方が出ている。ただ、大量発生と決めつけるのはまだ早いようだ。

 九州大学大学院農学研究院准教授で衛生昆虫学分野が専門の藤田龍介氏は、こう冷静に見る。

「実際に発生数が例年より極端に多いというより、“出始めが早かった”ことによる印象が大きいと考えられます。春先に気温の高い日が多かったため、例年より早い時期から蚊が活動し始めた。そのぶん、5月頃から“もう蚊がいる”“今年は多いのでは”と感じやすかったのだと思います」

 とはいえ、蚊の出現が早まれば、それだけ刺される機会も増える。例年のことではあるが、夏本番を前に、その対策は立てておきたいところだ。

 しかし世の中には、さまざまな「虫よけグッズ」が存在する。どれを選んで、どう使えばいいのか──。そんな素朴な疑問を藤田氏に聞いてみた。

 最近のグッズで気になるのは、ブローチ型のトンボ模型の虫よけグッズ『おにやんま君(R)』。全長10センチほど、本物のオニヤンマと同サイズのトンボの模型を帽子やバッグにつける人も増えている。オニヤンマは蚊の天敵とされるためかが近寄らないということらしい。

 これにはSNS上でも、《おにやんま君を吊るした側は明らかに蚊が少ない》《マジで効果ある》といった声が上がる一方で、《効果ない》《つけてたけど蚊に刺された》と言った声もあり、賛否両論。

 これについて、科学的な見地から藤田氏に聞いてみると、

「蚊は、距離によって人を探す手がかりを使い分けています。遠くからは二酸化炭素や人のにおい、中距離では服の色や肌から出る水分、近距離では体温を感知します。“トンボの形を見て危ないから逃げよう”と判断しているわけではないので、科学的に見ると、蚊よけとしての効果が期待できるとは言えませんね」

 そのため、黒など暗い色の服を着ている人、体温が高い人、運動後や飲酒後で呼吸量が増えている人、また、肌表面からの蒸散水分が多い、いわゆる肌にツヤのある子どもや若い人も刺されやすい傾向があるのだそうだ。

 そのうえで、藤田氏が最も確実と言うのが「虫よけスプレー」だ。

「特にディートやイカリジンといった有効成分が入ったものを、きちんと使うと効果はかなり高いです。これらは蚊が人間を見つける感覚を乱して、近寄りにくくする成分です。ディートやイカリジンを肌や服に塗ることで、二酸化炭素や汗のにおい、体温などの手がかりがうまく読み取れなくなるわけです」

 ディートは昔から使われている定番成分で、効果が強いのが特徴。一方のイカリジンは比較的新しい成分で、においやベタつきが少なく、子どもにも使いやすい。服や樹脂素材を傷めにくい点もメリットだ。