「え、それって子どもと離れて座る可能性もあるってことですよね……」 そう驚きを隠せないのは、毎年夏と年末に妻と小学生の子ども2人を連れて九州の実家へ帰省する40代会社員だ。

 「うちは毎年ANAを利用しているんです。子どもがまだ小さいので、予約したらまず最初にやるのが座席指定でした。家族4人で横並びに座れるかどうかで、移動の負担が全然違いますから」

 そんな利用者に衝撃が走ったのが、ANAが導入する国内線の新運賃制度だった。 最も安い「シンプル運賃」では、事前の座席指定ができない。座席が確定するのは出発24時間前のオンラインチェックイン以降となる。 

 「料金が安くなるのはありがたいです。でも、家族がバラバラになる可能性があるなら話は別です。結局、安心を買うために高い運賃を選ぶしかなくなるんじゃないでしょうか」 

 SNS上では、《子どもと離れた席になったらどうするの?》《家族旅行では怖くて選べない》《ANAまでLCCみたいになってきた》といった声に加え、《安い運賃を選ぶ人ほど不便になる》《結局、高い運賃を選ばせたいだけでは?》《家族連れには実質値上げじゃないか》など、制度への疑問や不満が相次いでいる。

 ANAは、新運賃について「多様なニーズに応えるための運賃体系」と説明している。また、株主総会では、シンプル運賃でも有料で事前座席指定できる仕組みを検討していることも明らかにしている。

 これについて先ほどの男性は、「もちろん企業にも事情はあると思います。でも、家族旅行って"座席を選べるかどうか"が前提なんですよ。決してぜいたくではなくて。それがオプション扱いになるなら、安い運賃って本当に安いと言えるのかなって思います」と不満を露わにする。