日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が、本サイトで現代の時流を徹底解説。いま戸田氏が注目するのは、夜の街で広まる「ニコパフ」についてだ。

 夜の街でいま、手に持った小さな器具から勢いよく煙を吐き出す若者の姿が、至る所で目撃されています。その正体は「ニコパフ」と呼ばれる使い捨て型の電子タバコ。これはニコチンの「ニコ」と、吸引を意味する「パフ」を掛け合わせた造語で、フルーツなどの香料が入った液体を電気で加熱し、発生した蒸気を吸う仕組みの製品です。大阪・ミナミでは「2人に1人が吸っているレベル」で浸透しているとも報じられており、デザイン性の高さから、ファッションの一部として受け入れられているのが現状です。

 しかし、このニコパフには重大な問題が……。ニコチンを含む液体製品は、日本の法律において医薬品に分類されるため、厚生労働省の承認を得ずに販売や譲渡することは禁止されているのです。にもかかわらず、フリーマーケットアプリなどでは「Nあり」といった隠語を用いて取引が行われており、実際の成分分析でもニコチンが検出される事例が確認されました。今年3月にはSNSを通じてニコパフを販売したとして、京都府の男子大学生と当時高校生だった少年が大阪府警に医薬品医療機器法違反の疑いで書類送検される事態にまで発展しています。

 さらに懸念されるのは、この製品が20歳未満の喫煙を禁じる法律の対象外となっている点です。法的な抜け穴が、中学生をはじめとする低年齢層にまで利用が拡大する一因となっており、ネット上でも「ちゃんと規制強化をかけないと本当にヤバい」「どこで誰が作っているのか、何も保証もないものによく手を出せるなと思う」「これが増えたらさらに日本の将来が懸念される」と、危機感を抱く人も少なくありません。

 甘くて吸いやすいことから軽い気持ちで使用を続け、本人が気づかないうちに深刻なニコチン依存症に陥るリスクも、医療関係者や専門家から指摘されています。しかし、問題はそれだけにとどまりません。ニコパフに慣れることで吸入器具の扱いに抵抗がなくなり、将来的により危険な違法薬物へと誘発されるリスクが潜んでいるのです。