「注文はQRコードからお願いしまーす!」

 ここ数年、居酒屋でこのフレーズをよく聞くようになった。卓に置かれた“QRコード”にスマホをかざせば、注文から店員の呼び出し、伝票までを一気にできる最近の居酒屋やファミレスの注文システム。店側の手を煩わせず、客側も無駄な会話をしなくて済むといったメリットがある一方……。SNSでは、顧客サイドからの不満の声が溢れている。

〈客の通信料やバッテリー、LINEアカウントは店側のフリー素材ではありません〉
〈カメラが壊れたり、手元にスマホがなかったら店に謝らないといけないの?〉
〈サイゼリヤとか、高齢のお客さんが一掃されたよね……〉

 “客側の負担が増えている”という違和感を覚える人が少なくないようだ。

 ではなぜ、便利になるはずの“QR注文”にここまでの不満が発生してしまうだろうか? コメンテーターの木村和久氏は「“スマホありき”の注文システムは、慣れてない人には優しいものではない」と嘆く。

「中高年に限って言えば、さすがにスマホを使いこなせる人も増えたものの、ギガ(通信量)が少なくて自分の通信で注文するのにヒヤヒヤする人も多いんじゃないでしょうか。あと、スマホだと字が細かくて見づらい! 最近はメニューもスマホで見ないといけない店もあるし、注文が、もはや“ダンジョン”状態です。女性にカッコつけたいときなんて、もう最悪です(笑)」(以下、コメントはすべて木村氏)

 スマホさえあれば手軽に注文できるはずが、結果的に小さいストレスが積み重なってしまうというのだ。なお、QR注文の不便さは、スマホに不慣れな世代に限った話ではない。集団で飲食した際にも弊害が発生すると、木村氏は続ける。

「誰が何を頼んだのかわからないのも不便ですよね。皆が勝手にオーダーできるから、会計の予想もつきづらい。気がついたら高い物ばかりを頼まれていた……ってことだってあるし、割り勘のときなら飲む量で損することだってあります」

 さらに、飲みの席が地下や個室だったときには、注文する際の“ダンジョン”の難易度は上がる。通信環境が悪くなり、電波が卓に届かない。メニューまでは何とか読み込めても、いざ注文……とタップすると回線が途絶えて“再度読み込みしてください”となることもある。

「店に設置された無料Wi-Fiが使えることもありますが、またこれも登録がおっくうですよね。顧客情報の収集のためでしょうが、登録をするときに“人数”、“性別”、“年齢”を聞かれます。僕もそのたびに“60代・男性・1人”と打ち込みますが……面倒ですし、何よりも孤独感を再確認するハメになりますよ(笑)」