■フジテレビの人気番組でもトラブルが報じられたことも

 鎮目氏は、そうした事情がある一方で「人気商売というのもあって、どうしても“○○さんの写真を撮りたい!”“友だちに自慢したい”という気持ちを抱く人が多いのも当然と言えば当然」と話す。

「ですのでやはり、制作側は“すみません、今仕事中なので……”と、下手に出てお願いするべきだと思うんです。それを“勝手に撮らないように!”みたいな偉そうに言うと、制作サイドやタレント側が傲慢だと非難されても仕方ないところはあると思います。

 今回の場合は“とんでもない人がいました!”と番組がネタにしている感じですよね。相手が一般の方であることを考えると、やりすぎな感じもしますよね。

 タレントや制作側には、勝手に写真を撮られて困る理由があるとはいえ、やはり言い方は丁寧にお願いしなければいけないのだと思います」

 今回に限らず、ロケ中に制作側と一般の人がトラブルになるという話は日常茶飯事だとされる。道を通行する人たちに文句を言われることも珍しくないといい、“スタッフの態度が悪かった”という話がSNSで拡散されることも。実際に制作サイドが謝罪したケースもある。

 たとえば、フジテレビ系の人気バラエティ番組『逃走中』では、24年3月に、撮影スタッフが都内のオフィス街で撮影をする際にマンションの出入り口を塞いだり、敷地を無断使用したこと、それにより警察を呼ばれたことがXで拡散。

 その際、スタッフが《一般の方々と我々は違うんです。静かにしてください》と発言して撮影を強行したという話も出回り、《一般の方々》がXでトレンド入りするなど炎上した。後に制作側は《撮影現場の近隣住民の方にご迷惑をおかけしてしまったことを深くお詫び申し上げます。今後このような事の無いよう、スタッフの指導を行うとともに徹底してまいります》と謝罪文を発表している。

 鎮目氏は続ける。

「基本、お店には許可取りしているでしょうが、道を歩いている人が映り込むところまでいちいち許可を取ってるのかとか、ロケで歩く道路の許可とか……たとえば、ドラマや大掛かりな機材で撮る番組では道路の使用許可を取るものですが、バラエティや報道番組なんかで少し撮るだけの場合、そこまで許可を取っていないこともあります。

 そうすると、制作側も無許可で撮影していると言えばしている部分があるのに、それを一般の人に対してだけ上から目線で言うのは……。誰もが動画や写真を撮るのが当たり前の時代ですから、やはりなかなか理解を得られないんじゃないかと思います」

 また鎮目氏は実体験として、“スタッフの態度が悪かった”と言われやすい背景を、こう説明する。

「近年では、逆に一般の方に“撮らないで”と言われてモメるケースも増えていますね。結局はお互いに穏やかに話し合って納得することが大切なんですが……ここで問題になってくるのは、ロケ中のスタッフというのは、キツいタイムスケジュールや諸々の理由からイライラしている人も少なくないんですよね。それで、言い方がキツくなるケースも。そのことで、相手がムッとして苦情につながることもあるようです。ちゃんとお願いをすれば聞いてくれる人も多いと思うので、やはりコミュニケーションの問題ですね」

 今後も、番組のロケを巡るトラブルは、度々浮上するのかもしれない――。

鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)