■コナン好きがVIVANTにハマる要素、声優たちにも出演メリット

 鎮目氏は、大前提として「『VIVANT』の世界観だからこその声優起用はある」としたうえで、こう分析する。

「そもそも『VIVANT』ならではの特徴として、セリフや声色で考察を呼ぶ仕掛けが全編にわたって施されている演出があります。この人はどっち側なのか、この情報は“真”なのか“偽”なのかなど、何か裏があるのでは……と視聴者に考えさせ、議論をさせることで話題作りをしてきました。声の“表情”や声音が重要となると、声で演技をする声優の力のほうが圧倒的に長けるでしょう」(鎮目氏=以下同)

 たしかに『VIVANT』では「音声」による情報が多用される。

「乃木の二重人格とAI、ドラムのスマホなど、人工音声と声優をうまく使い、これまでの一般的なドラマよりも非常に“音声による説明”が多い。演出意図としては、ややこしいストーリーや設定の理解補助、音声による緊張感とテンポ感のアップ、意図的に情報を増やすことでSNSでの話題化や考察の余地拡大といったところでしょうか」

 そして声優の起用にあたって、すでに根強い人気のあるアニメに出演しているという事実はドラマの話題化・拡散面に大きく貢献するという。実際、Xには放送中から『鬼滅』や『コナン』と結びつける声が続出してドラマを盛り上げ、なかには《コナン好きがVIVANTにハマる要素》として、「考察」や「公安」、「謎の組織」、「スパイ」といったポイントを挙げる投稿もあった。

「ドラマの宣伝として、SNS上での広がりは今や欠かせない手法です。その際、SNSとアニメ、声優というのはとても相性がいい。

 今やドラマは見ていなくても、アニメは配信などでいろいろな作品を見ているという人は多いでしょう。映画の興行収入でも、アニメの劇場版がトップを独占します。人気アニメに出ているベテラン声優なら、その熱烈なファンを“基礎票”としてつけられる。加えて、日本のアニメは外国人にも人気があります。海外展開かつヒットを狙うTBSにとって、ドラマへの声優起用は視聴への間口を広げられることになる」

 声優側にも、メリットがある。

「アニメの声優としては抜群の知名度があり、熱烈なファン層を誇っても、逆にいえばアニメを見ない人にとってはいつまでも知ってもらえない。そうしたなかでドラマ出演というのは一般的な認知度を上げるチャンスでもあるでしょう」

 予測できない俳優が登場することでも話題を振りまいてきた『VIVANT』。第2シーズンでは、声優たちの出演が作品やジャンルの枠組みを超えた存在感で、今後の展開の鍵を握っていきそうだ。

鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)