毎朝、なにげなく履いている、その一足。実は、靴の選び方ひとつで、生涯の健康寿命が短くなってしまうかもしれない。

 そこで今回は、50歳からの靴選びを大特集。医師や専門家が指摘する「早死にする靴」と「長生きする靴」の違いを徹底解説する。

 靴選びにおいて、多くの人が見落としがちなのが靴紐だ。結びっぱなしの靴に、毎朝ズボッと足を突っ込む。これでは「せっかくの靴も効果を失う」と、シューフィッターの佐藤靖青氏が警告する。

「本来、紐靴は履くたびに一度ほどき、足を入れてから締め直すことで性能を発揮します。結びっぱなしでは、靴の能力の十分の一も使えていないと思います。

 毎回、締められない人は、カカトを固定できるハンズフリー靴などを選ぶのも一つです」

 日本靴医学会理事で、『わせだ整形外科』院長の早稲田明生氏も、靴紐を緩めたまま履いていた患者に、きちんと締めるよう指導しただけで、足の痛みが治まったことがあるという。

 靴の重さも重要だ。

「重い靴は疲れやすく、疲れると足を引きずり、つま先が上がりにくくなります。小さな段差にも引っかかりやすいため、中高年は重すぎない靴を選んだほうがいいでしょう」(前同)

 もっとも、軽ければ軽いほど安全というわけでもない。不自然なほど軽い靴は、滑り止めや安定性に必要な素材を省いている可能性があるという。

「持った瞬間に驚くほど軽い靴は、靴底のグリップが弱い場合があります。購入の際は、実際に店内を10メートルほど歩き、カカトが抜けないか、足が靴の中で遊ばないかを確認してください」(前出の佐藤氏)

 日々、革靴を履くサラリーマンなら、靴底にも注意したい。県立広島大学理学療法学コース教授の長谷川正哉氏が解説する。

「革底は高級感がありますが、雨で濡れた駅構内のタイルなどでは滑りやすい。

 日常的に歩くのであれば、ゴム底や滑り止め加工のあるもののほうが安心です。ローファーよりも、紐やベルトで甲を固定できるもののほうが歩行は安定します」

 先の尖った革靴も、足の形に合わなければ危険だ。極端な先細靴を履けば、親指が内側へ押され、外反母趾の原因になりかねないし、そもそも、つま先が長いと、つまずきやすい。