■街歩きに不向きなバスケットシューズ

 一方でブーツは、重さに加え、履き口が硬すぎて足首の動きを妨げないか、実際に歩いて確認しよう。

 また、足首を守るために、ハイカットのバスケットシューズを選ぶ向きは少なくないが、

「現在は、足首を覆うことより、後ろから見て靴底がハの字状に広がり、接地面積が大きい靴のほうが安定するという考え方が一般的です」(前出の佐藤靖青氏)

 なお、街歩き用なら、ウォーキングシューズかランニングシューズがオススメ。

「テニスシューズやバスケットボールシューズは急停止や急な方向転換をするよう作られているので、街歩きには向きません」(前同)

 最新研究では、足を守りすぎる靴への注意も指摘されている。

「クッションや土踏まずの支えは、手厚ければいいわけではありません。支えすぎると足裏の感覚が鈍り、路面の変化への反応が遅れて転倒しやすくなる。そこで今、足裏を適度に刺激して感覚を呼び起こす研究を進めています」(前出の長谷川正哉氏)

 靴の機能だけに頼るのではなく、自分の足で歩く習慣も大切だ。

「中高年以降は、歩くこと自体が筋力の維持につながります。その土台になるのが靴。自分に合うものを選んでください」(前出の佐藤氏)

 10年後の健康は、毎日、履く一足が決めるのだ。

【記事前編】では、65歳以上の転倒・転落死は、交通事故死の約4倍という調査結果を厚生労働省のデータとともに紹介。原因は、つまずきやよろめきによる転倒だという。しかも、足の形は年齢とともに変わっていくため、若い頃と同じ靴を履くのは危険だという。死なないために、医師や専門家が推奨する靴選びの基本を紹介する。《【前編】はこちらから》

早稲田明生(わせだ・あけお)
医師、医学博士。わせだ整形外科院長。日本整形外科学会専門医、日本足の外科学会認定「足の外科認定医」。慶應義塾大学病院や荻窪病院などで整形外科診療に携わり、足や足首の疾患・外傷を専門に研鑽を積む。2021年、東京都狛江市にわせだ整形外科を開院。足の外科をはじめ、スポーツ障害、リハビリテーション、骨粗鬆症などを幅広く診療している。日本靴医学会理事も務め、靴と足の健康に精通する。

長谷川正哉(はせがわ・まさき)
理学療法士、博士(保健学)。県立広島大学保健福祉学部教授、理学療法学コース長。足裏の触覚や圧覚など、人間の「感覚」が姿勢や歩行に与える影響を研究。足裏への刺激によって歩き方や姿勢の改善を促す「知覚入力型インソール」の開発にも取り組む。高齢者の転倒予防や足・靴に関する講演、医療福祉機器や健康関連製品の開発・評価にも携わっている。

佐藤靖青(さとう・せいしょう)
シューフィッター、プロシューズアドバイザー。株式会社Cielize代表。イギリス・ノーサンプトンで靴の設計を学び、帰国後は約10年間、靴の設計に従事。その後、靴修理の現場で15年間経験を積み、シューフィッター資格を取得した。これまで2万人以上の足と靴を見てきた経験をもとに、靴選びやフィッティングを指導。ブログ「毎日靴ブログ」やYouTubeでも、足と靴に関する実践的な情報を発信している。