日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回、戸田氏が注目したのは、巧妙化する「セルフレジ万引き」についてです。

 人手不足解消の切り札として全国のスーパーで普及が進むセルフレジ。しかし、利便性の向上に伴い、その仕組みを悪用した万引き被害の深刻化が浮き彫りとなっています。全国万引犯罪防止機構の調査によると、万引きによる年間の被害額は推計で約3460億円に上り、1日あたりに換算すると9億円以上。認知件数は近年増加傾向にあり、店舗にとっては経営を揺るがしかねない死活問題に発展しています。

 被害の拡大を後押ししているのが、手口の巧妙化です。代表的な事例が、商品パッケージのバーコードではない部分をスキャナーにかざし、周囲から精算したように見せかける「空スキャン」。さらに、複数の缶がセットになった商品のうち、1缶分のバーコードだけを読み込ませて代金を抑える「単品スキャン」も横行しています。

 そして、最も悪質なものとして警戒されているのが通称「もやしパス」と呼ばれる手口。過去に購入したもやしなどの安価な商品のバーコードをあらかじめ自宅から持ち出して手に忍ばせておき、会計時に高級商品のバーコードの上に重ねて読み込ませることで、機械を誤認させる行為を指します。

 こうした犯罪に対し、店舗側は最新の防犯テクノロジーを用いた対抗策の導入を開始しました。東京のIT企業であるアースアイズが開発した「セルフレジeye」は、独自のAI画像認識技術を用いて商品のスキャン漏れを検知するシステムで、カメラが商品を持つ手を識別し、バーコードを隠して通したり、スキャンせずに素早く通過させたりした場合には、画面に「再度登録を行ってください」と赤い枠で警告を表示。故意の不正だけでなく利用者のうっかりスキャンミスも未然に防いでいます。