■打撃戦復活のカギはABSチャレンジ!

 投高打低の原因としてよく言われるのはピッチャーの進化。例えば、球速だけでも、ここ数年でかなりアップしました。かつては150キロ以上が出れば速球派といわれたものですが、今は二軍の若手投手でも、ビュンビュン投げています。

 変化球の種類も増え、その曲がり方もさまざま。打者の手元で小さく、鋭く変化するボールもあれば、スイーパーのように大きく曲がるボールもあります。

 配球の変化もあります。典型的なのは、決め球のフォークボールの使い方。追い込んでからではなく、ボール先行のカウントからでも、どんどん投げてきます。打つほうは対応が大変です。

 一方で同じように速球派の投手が増えているはずなのに、メジャーの舞台ではホームラン数が増加気味。打者のパワーが日本とは違うと言ってしまえば、それまででしょうが、ボールが飛ぶという話も耳にします。

 それにメジャーでは今季から、際どいコースの判定にリクエストができる、ABSチャレンジ制度が導入されました。これは打者にとって有利です。

 打者はストライク1つで、ガラッと打席での心理が変わる生き物です。自分がボールだと思って見逃がしたアウトコースの球をストライクと判定されると、次はインサイドを打つのも苦しくなる。逆に、ボールと判断したインサイドの球をストライクとコールされると、アウトコースがムチャクチャ遠く感じられるもの。

 もちろん、審判も人間ですから多少の間違いはあるでしょう。ただ、ABSチャレンジが導入されれば、審判によるストライクゾーンの差はある程度、なくなるのではないでしょうか。

 緊迫した投手戦も良いですが、打球が飛び交う打撃戦もまた野球の醍醐味。甲子園がテルや森下のホームラン1本で、沸き立っているのを見ていると、よく分かります。

 現在のルールがダメだとは言いません。ただ、制度を少し見直すだけで、野球ファンがもっと増えるのでは、との思いが、どこかにあるのも事実です。

矢野燿大(やの・あきひろ)
1968年12月6日生まれ。90年ドラフト2位で中日ドラゴンズへ入団。97年オフにトレードで阪神タイガースへ移籍すると、正捕手としてチームの躍進を支え2度のリーグ優勝に貢献。