実に2566品目もの食料品が値上げされた7月。物価高騰が著しい昨今、中でもとりわけオレンジジュースの値上がりが目立つ。同じ濃縮還元100%のジュースでも、リンゴやグレープに比べて1.5倍近い値段が付く売り場も……。
「総務省の小売物価統計調査を集計したデータでは、1000ミリリットル入りの平均価格は2026年3月に408円と過去最高を記録。2021年の安値176円から、実に2倍超に跳ね上がりました」(食品業界紙記者)
その背景に何があるのか──。調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説する。(以下、カギカッコ内のコメントはすべて坂口氏)
「日本のオレンジ果汁は、その大半を輸入に頼っています。主な生産国はブラジルとアメリカで、日本はメキシコやスペイン、イタリアなどからも調達していいます。ただ、ブラジルでは干ばつや大雨に加え、ここ数年で“カンキツグリーニング病”が拡大したことが大きいですね。さらに米・フロリダでもハリケーン被害が重なり、二大産地が同時に打撃を受けました。これが世界的な供給不足につながっているんです」
カンキツグリーニング病とは、柑橘類全般で発症する細菌病で、世界中の柑橘類の主要栽培地域で猛威を振るっている病害のこと。そもそも必要量を確保できないのだ。そのため、メーカー各社とも一時は販売休止に追い込まれる事態になっている。
たとえば、キリンビバレッジは『トロピカーナ100%』を一時休売し、再開後は値上げで対応。アサヒ飲料も『バヤリース オレンジ』1.5リットルを2023年12月から一時休止し、25年4月には果汁の割合を下げた商品を626円(税込み)で再発売した。雪印メグミルクに至っては、『Dole オレンジ100%』の一部商品が23年4月から販売休止となった後、今年3月に販売終了となってしまった。
「たとえば、これまで“100”確保できた果汁が“80”に減れば、各社でその“80”を分けるしかありません。不足分を高値で買い集めることはできますが、その価格を商品に転嫁して消費者が買ってくれるとは限らない。そのため、企業は販売を休止したり、提供量を減らしたりするのです」
だが、商品の値段を押し上げているのは、原料の高騰だけではない。
「仮に100円のジュースがあったとして、そこには人件費や輸送費、燃料費、容器・包装資材の費用も含まれます。円安や原油高騰も響き、こうした周辺コストまで同時に上がったことも値上げにつながっています」