■あえての地上波放送の結果は?
一方で、杉咲の演技は圧倒的だった。特に2月28日放送の第3話は、ドラマ的なことはなにも起こらず、男たちと文菜のそれぞれの会話シーンをひたすら見る回。文菜は、帰省した地元で元彼と会って、帰ってきてから男友達と会って、その最中に浮気相手と電話。そして今彼の家に行く。文字にしたら非難されるのは確実な行動だが、場面それぞれの文菜の感情を見事に出し切っていて、ごく自然なことに見えてしまっていた。
ただ、身も蓋もな言い方をすると、本作には明確なストーリーはなく、主人公が求めているものも「探している途中」であり、普通に見ればただのダラダラとしたドラマだ。テレビや通勤途中のスマホではなく、映画館で集中して見れば、面白く感じるだろう。ただ、考察やどんでん返しなど、視聴者を離さないための工夫が施された作品が並ぶ地上波でやるのは、あまりに冒険過ぎた。低調に終わったのは、そこに尽きるだろう。
動画配信サービス・Amazonプライムビデオでは、杉咲・今泉のタッグによる、多部未華子(37)とダブル主演のドラマ『クロエマ』(全5話、海野つなみ・原作、講談社『Kiss』連載)が6月に配信され、評価4.7という大ヒットとなった。『冬のなんかさ、春のなんかね』も配信ドラマだったなら、評価もだいぶ変わっていたことだろう。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。