■将来的には「10割負担」の“含み”も

 さらに今回の改正の恐ろしいところは、将来的にはこれらの薬を完全に保険適用外とし、ドラッグストアと同じ「10割負担」へ移行させる“含み”を持たせている点にあります。医療現場の経営難を背景に、将来的な価格設定の自由化をも見据えた国の思惑も見え隠れしており、患者が窓口で支払う合計金額は従来とは比較にならないレベルまで膨らみかねません。

 ネット上でも、《花粉症の薬を毎年どっさり処方してもらっていたが、10割負担になったら春先の出費が恐ろしい》《湿布や痛み止めを頻繁に使う身としては、実質的な増税。病院の窓口でいきなり高額請求される未来が来るのか》《負担が増える一方で健康保険料が安くならないのはおかしい》といった困惑と怒りの声があふれています。

「今回の法改正の文言には、薬代だけでなく“それに伴う診察などの医療行為”まで保険適用から外せるような伏線が敷かれています。国はまず“市販薬と同じ薬だから”と国民を納得させ、段階的に負担を増やしていく算段なのでしょう。これが定着すれば、軽い症状で病院に行くだけで現在の3倍以上の診療費を請求されかねず、家計へのダメージは無視できません。医療保険を補填するための民間保険ビジネスが裏で儲かるだけ、という皮肉な結果を招く可能性も……」(医療ジャーナリスト)

 団塊の世代がすべて後期高齢者となった今、増大する社会保障費の抑制が現役世代の負担軽減に繋がるという大義名分は理解できます。しかし、毎月の健康保険料が下がらないまま窓口負担だけが増えるのだとすれば、それは単なる生活者への負担転嫁に過ぎません。体調が悪いにもかかわらず支払いを恐れて受診を控える人が増えれば、国民全体の健康水準低下という取り返しのつかない事態を招く恐れもあります。

 誰もが安価に医療の恩恵を受けられた「皆保険」の安心が音を立てて崩れようとしている今、私たちはこの法改正の行方を、これまで以上に注視していく必要がありそうです。

トレンド現象ウォッチャー・戸田蒼
大手出版社でエンタメ誌やWEBメディアの編集長を経てフリー。雑誌&WEBライター、トレンド現象ウォッチャーとして活動中。