2026年7月17日、武豊騎手とのコンビで、ダート重賞で2勝を挙げたヤマニンウルス(牡6、斉藤崇)が惜しまれつつ引退を発表した。他にも今年は、2023年のダービーを制したタスティエーラが引退。ちなみに2025年には、2023年の大阪杯を制したジャックドールが……。毎年、多くの競走馬が引退していくのだが、そんな馬たちは、どんな新たな人生ならぬ、新たな“馬生”を送っていくのだろうか。
「ヤマニンウルスは、今後は種牡馬として活躍を期待されています。このような名馬たちは、引退後に次世代を紡ぐために種牡馬や繁殖牝馬といった“セカンドキャリア”を歩んでいくことが多いです」(スポーツ紙記者)
また、名馬の中には、こんな名誉ある仕事で活躍する馬も……。
「たとえば、天皇や皇族を護衛する“皇宮警察”の騎馬隊に所属するサラブレッドたちは、ほぼすべてが競走馬出身なんです。過去には重賞レースに勝った馬もいます。レースで活躍した馬が、今度はパレードで警護をする立場として活躍しているんです」(前同)
名馬たちには華々しい“馬生”が待っているもの。しかし、勝つ馬がいるなら、結果を残せずにレースを後にする馬も当然、多くいる。当たり前のことだが、後者のほうが圧倒的に多数だ。そんな競走馬たちには、引退後、どのような“セカンドキャリア”が待っているのだろうか──。
「日本中央競馬会(JRA)を監督する農林水産省が掲載する『馬産地をめぐる情勢』によると、2024年の在籍登録数21,907頭のうち約半数の10,936頭が、翌年の2025年に登録抹消。その中でも“繁殖”の道に進めたのは、たった11%です」(同)
なお、これら登録抹消のうち、最も多いのは36%の“再登録”。つまり、中央競馬から地方競馬、その反対に地方競馬から中央競馬への移籍だ。
では、繁殖用になれず、再登録にも進めなかった馬は、どうなるのか?
全国で3000頭以上の乗用馬を保有し乗馬クラブを運営している乗馬クラブクレインのインストラクター、多胡啓氏に話を聞いた。
「レースを引退した競走馬のことを“引退競走馬”と呼ぶんですが、その多くは乗馬クラブなどで乗用馬として活躍しています。例えば、私どものクラブでも、GII優勝歴代最多記録を持つバランスオブゲームを筆頭にGI出走馬、GII優勝馬が多数所属しています」
実際に、前出の『馬産地をめぐる情勢』によると、2025年に登録抹消された馬の32%が「乗馬」となっており、競馬から離れた馬の中では最も大きな割合となっている。その他にも、ホースセラピー、教育、観光牧場など、セカンドキャリアの選択肢は意外と多い。また、もっとも、この“引退競走馬”という考え方が浸透しているのは、ごく最近のこと。それまでは、成果を残せなかった馬や、高齢の馬はすぐに処分されてしまうことも珍しくなかった。