■点と点を教えているだけで、線になっていない
では、実際の教育現場ではどのような教え方がなされているのか。
「現状、小学校4~5年生の保健体育あるいは理科の授業内で性教育はスタートします。最初は体が発達すると初潮や精通という現象が起こるといった簡単な説明からです。そして中学校に入ると、生殖器や受精についても教えるようになり、中学3年になるとHIVやコンドームといった記述も出てくる」
ただし“射精”“受精”“妊娠”といったそれぞれの事象に触れることはあっても、その因果関係を教えないのは不十分だと、前出のすぎやま氏は指摘する。
「包括的性教育に反対する人たちは“余計なことを教えて、興味本位で試してみる若者が増えたらどうするんだ”という不安が大きいようで、“性行為によって妊娠する”と教えることに強い抵抗感を示しているんです」
そこで最近たまに耳にする“包括的性教育”という概念が登場してくる。体や生殖の仕組みだけでなく、人間関係、性の多様性、ジェンダー平等、自己決定能力など人権尊重を基本とした性教育のことだ。
「今の性教育って点と点を教えているだけで、線になっていないんですよね。そこが一番の課題じゃないでしょうか。そのためにも学校に専門家を入れるべきではないかと私は考えています。認定制度を作るなどのシステムを整備していけば、現場の先生方が教えにくい部分もカバーできると思いますし」
いずれにせよ、臭いものに蓋をする感覚のままでは性被害者が増えることは自明の理。呑気に議論を続けるような余裕はないはずだが──。
静岡の元教師すぎやま
しずおかのもときょうしすぎやま◎静岡県出身のインフルエンサー・教育評論家。「日本一バズってる元教師」として知られ、SNSの総フォロワー数は78万人超。公立中学校で10年以上教壇に立った経験を活かし、YouTubeやTikTokで先生の本音や学校の裏側を発信する。