NHKは8月5日、職員が番組出演者から性被害を受けたことで休職に追い込まれ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になった事案があったこと、別の職場で復職したいという職員の意思を放置していたことなど不適切な対応があったことをマスコミ向けに公表し、会見を開いた。
近年、しばしば大きな騒動となってきたテレビ業界の性被害問題。これまで同事案に厳しい態度をとってきたNHKだったはずだが──。
NHKによると2025年4月、職員であるAさんから、労働組合を通じて「番組出演者からの性被害により体調を崩して休職」したこと、また「フラッシュバックなどもあるため所属部局以外での復職等を希望したが、聞き入れられなかった」などという申し入れがあった。このためNHKは同年5月、外部の専門家などからなる調査検討委員会を設置。約1年にわたって35人からヒアリングを行い、計34回会合を開いた。
会見で明かされたのは、Aさんは番組出演者・X氏を交えた懇親会の後、X氏から合意のない性被害を受けたこと。Aさんはそれがきっかけで体調を崩し、休職したこと。PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されたことなどだった。
そして性被害から1年数か月後、Aさんは職場へ性被害を打ち明けたうえで、所属部局への復職では被害当夜のことがフラッシュバックするなど精神状況が悪化するため、別の職場で復職できるよう「特段の配慮」を強く要求。主治医やNHKの産業医も異動を後押ししたが、人事担当者は「現所属での復職が原則」などとして拒否したのだという。
Aさんはそのまま所属部局に復職しつつ、繰り返し別の職場への異動を求めたが、異動が実現したのは、被害から3年以上経過した後のことだった。
スポーツ紙記者が、この会見での発表をもとに当時のNHKについて話す。
「NHKは対応が後手に回ってしまったことについて、担当者の認識が不十分だったことや、内部通報制度の周知不徹底等を理由に挙げましたが、少なくともその間、23年にはジャニー喜多川氏による性加害騒動があり、NHKも取り上げてきた。同年10月には、NHK放送センター内でジャニー氏から複数回性被害に遭ったという30代男性の証言を報じましたし、同年の『紅白歌合戦』に旧ジャニーズ事務所タレントの出場者はゼロなど、性加害関係の事案には厳しい措置をとっています。
また25年1月は、元タレントの中居正広氏による性加害騒動でフジテレビが大きく揺れたことを受け、各局ともコンプライアンス意識が強まり、社内調査をしていました。NHKもこの時期に前会長が会見を開いています」(スポーツ紙記者)
NHKは25年1月22日、稲葉延雄前会長が、定例会見で“中居騒動”を受けて「NHKではハラスメント関係の通報制度が確立している」ときっぱり。「被害者の方々の人権が守られているか、強く認識している」としながら、被害を訴える内部通報は「いっさいない」、また「あらためて調査する予定は