■元テレビ朝日プロデューサーが解説する局とCMスポンサー企業の関係性

 一般論として、ドラマやバラエティ番組がスポンサー企業とタイアップ商品を出したり、劇中で商品をPRしたりと“関与”を感じることもあるが――テレビ番組とスポンサーの関係性について、元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏は「前提として、マルゼンの社長さんの説明は間違いではありません」としたうえで、番組制作の内実をこう解説する。

「スポンサーの形、CM販売は非常に複雑で、多くの形式があるんです。そのなかには一社提供や、ドラマの企画段階からスポンサー込みで動いている企画なども。それらの場合には、スポンサーの意向を聞きながら企画が進むこともあります」(鎮目氏、以下同)

 有名なところでは、『VIVANT』が放送中のTBSの看板ドラマ枠「日曜劇場」は、創設した1956年12月から2002年9月までは東芝グループによる一社提供の「東芝日曜劇場」だった。

「テレビ局側は、スポンサー企業には、ドラマのキャスティングや初回の簡単な内容などは伝える場合が多いですね。それは年間形式だけでなく、スポット形式の会社も含まれます。

 ただ、ニュース番組や、直前に内容が変わりがちなバラエティ番組では、毎回放送内容が分からないということもあり得ます」

 もっとも、番組制作においてスポンサー企業は重要な存在のため、どうしても気を遣うことはあるという。

「一般論として、局はスポンサーに“降りる”と言われたら非常に困るわけです。そして、その理由が“番組内容への抗議”であれば、局側がスポンサー企業を引き止めるために、“提案”をすることはあります。一社提供や企画から関与しているようなスポンサーであれば、彼らが何か物申した場合、番組の内容は変わりますね」

 番組側から、スポンサー企業への相談が“必要”になるケースもあるという。

「たとえば、飲料メーカーA社のCMに起用されている俳優は、競合のB社がスポンサーをしている枠のドラマに出ることはほぼありえないですね。それはA社のCMのイメージが強い俳優が活躍すると、結果としてA社の宣伝をするような形になってしまい、B社が不利益を被るリスクがあるからですよね。そうした事情から、局側がスポンサーに出演俳優を確認してもらうこと、それによりキャスティングが変わる、ということもよく聞く話です。

 また、過去に不祥事を起こした人など、どうしてもスポンサー企業が嫌がるタレントもいますし、局側がスポンサーのそうした意向を聞かないとは考えにくいので……やはり、さまざま配慮をすることはあると思います。

 そうした話に加えて、局にとって付き合いの長いお得意様のスポンサー企業と、そんなに多くCMを出しているわけでもないスポンサー企業――“上顧客”か“普通のお客さん”かで、どうしても扱い方が変わってくるところもありますね」

 テレビ番組とCMスポンサーとの契約形態、また“関係”はさまざまで、なかなか複雑なものであるようだ。

鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)