■阿部寛・野崎を巡る4つの不可解な描写

 まず、前述のようにラストシーンで野崎は現地のヘブライ人に「こちらとしても、お役に立てて何よりだ!」と話している。本放送とTVer配信での予告では、第三勢力の人物の可能性が高い怪しげな女性(宮下今日子/50)の顔が映る場面で、野崎の「奴は手段を選ばない」という距離感のあるセリフも。これらは、野崎が今回登場したイスラエル側の人間ではなく、公安との二重スパイのような立ち位置にいるということかもしれない。

 そして、その前提で考えると、第11話(第2シーズン初回)で野崎は、乃木がバルカへ発つ際に「何か苦渋に直面したら、チンギス(バルサラハガバ・バトボルド/40)に相談するといい。良い知恵を与えてくれる」とアドバイスを送っていた。チンギスは第1シーズンでの活躍ぶりもあって、野崎も一目置いている優秀な刑事。“苦渋に直面”というのは今回の自身の裏切りのことで、チンギスを通じて乃木に何かメッセージを残すなどしているのかもしれない。

 思い返せば、第1シーズンでは乃木が、野崎に似たようなことをしてもいた。野崎が世界的な名作『ハリー・ポッター』のファンであることから、世間話にさりげなく、『ハリー・ポッター』に登場した正義側の二重スパイ・スネイプ先生の名前を忍ばせて、野崎が乃木の“真意”にたどり着けるようにする展開があった。第11話で乃木が「チンギスに~」と言われた際の意味深な表情は、それを察したのかも……。

 また、野崎はこれまで、第1シーズンの最終回(第10話)で上原史郎内閣官房副長官(橋爪功/84)に「別班はどこにいるか分かりませんからね」と不敵な笑みを浮かべたり、テロ組織「テント」解体にあたって幹部の1人・ノコル(二宮和也/43)は見逃してほしいという要求に「そこは私が抑えてみせます」と、イチ諜報部員としては少々驚きの自信を見せていたことから、実は日本国の相当上のポジションにいる人物なのでは――という考察も。

 第12話(8月2日)では、野崎と別班サイドがリモート打ち合わせ中に、野崎が“女性のフィギュア”をちらつかせる描写があったが、これも別班の司令が女性(櫻井里美/キムラ緑子/64)であると知っていなければ不自然なところがあった。

 第三勢力にいるとは思えない描写、乃木へのチンギスを巡る意味深な発言、そして第1シーズンの二重スパイ展開に、別班の指令の素性を知っているなど、これまでのただ者でないと感じさせる言動の数々――これらの要素から、

《野崎「何か苦渋に直面したらチンギス…」って言ってた。乃木に何かを託したのかなとにかく野崎は裏切ってない》
《前回は乃木がスネイプ先生 今回は野崎のターンそして指令の旧知の仲の野崎と指令2人だけの作戦なんやかんや野崎さんは裏切ってなくて、1stシーズンの乃木さんみたいなポジションに(公安任務として潜入捜査する?)なる》
《野崎裏切ってない説は俺も推すけど、司令官より上の別班はさすがに...w って思ったけど、これなら人形の件が説明着くのか...》
《もっと上の政府に準じる 立場だと私は考えてしまう(略)首相直属内閣調査部?みたいな 立場に思えてしまう》

 など、野崎はただの裏切り者ではないのでは――という考察が多く寄せられている。野崎の“裏切り”でいよいよ物語の激動が始まった感のある『VIVANT』第2シーズン。果たして、野崎の離反の真意は――。

特撮・ドラマ・映画ライター・トシ
幼少期に『仮面ライダーアギト』を観て複雑なシナリオに「何かとんでもないモノがスタートした!」と衝撃を受け、平成ライダー、そして現在放送中の令和ライダーを筆頭に、特撮作品を愛するように。
特撮出身の俳優を追う過程で一般ドラマや映画の世界にも興味を抱くようになり、旬なドラマ・映画は欠かさずチェック。エキストラとして作品に参加し、阿部サダヲ藤原竜也など一流の俳優陣の生の芝居に衝撃を受けることもしばしば。『VIVANT』第1シーズンでは考察を大いに楽しんだ。