■絶大な支持を獲得した波瑠・麻生久美子コンビ
それでも視聴者から厚い支持を得られたのは、波瑠と麻生の存在が大きい。文学オタクな銀座のバーのママでトランスジェンダーとクセ強なキャラのルナ(波瑠)と、平凡だが情緒豊かな専業主婦の涼子(麻生)とのペアは、まるでホームズとワトソン。推理ものでは定番の組み合わせで、安心して見られた。
また、このドラマの魅力はミステリー要素というより、ルナと涼子のシスターフッドだった。実際、X上には、《冴えない主婦だった涼子さんがすごく視野が広くなって柔軟性に富んだ素敵な女性になってる。ルナさんに会えて本当に良かったし、羨ましい》など、出会ったことで互いが変化していく様子を楽しむ声が多かった。どれもルナと涼子への思い入れたっぷりで、話が進むに連れ2人に言及する声はどんどん増えた。
最近の日本テレビの“水曜ドラマ”枠は、独特な世界観の恋愛ものだった杉咲花(28)主演の『冬のなんかさ、春のなんかね』や、サスペンスと恋愛をフュージョンした桜田ひより(23)と佐野勇斗(28)ダブル主演の『ESCAPE それは誘拐のはずだった』など、カラーを決めずに実験的なことをやる場になっている。
それもあって、2作は全話平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)が3%台に低迷していたが、『月夜行路』は見事に4.9%までに盛り返し、救世主となった。30代・40代女性をフィーチャーしたシスターフッドというのは、今後のヒットのキーワードかもしれない。(ドラマライター・ヤマカワ)
■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。